• "終末期"(/)
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  1. 鳥取県議会 2021-02-01
    令和3年2月定例会(第2号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(藤縄喜和君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。  これより、代表質問を行っていただきます。  27番西川憲雄議員 ◯27番(西川憲雄君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。鳥取県議会自由民主党の西川でございます。鳥取県議会自由民主党を代表して、平井知事、山本教育長服部警察本部長をはじめ執行部の皆様に御質問いたします。  また、このような機会を与えていただきました議長をはじめ議員の皆様、心よりお礼を申し上げます。  本日は、将来の持続的な発展のために最重要な課題と考えている人材育成を中心として、各分野にわたり質問させていただくこととし、壇上での質問を2回に分けてさせていただきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、将来を見据えた本県の人材育成について質問いたします。  今任期もいよいよこれから折り返しとなります。これまでの県政の2年間を振り返れば、任期当初、人口減少の時代にありながら毎年2,000人の移住者の受入れ、大型クルーズ船の寄港、国際定期便の拡充、好調なインバウンド、企業立地の推進や県産品のブランド化など、地域経済は足元を固めながら順調な道を歩み始めていました。御代替わりによる新たな時代の幕開けを控え、明るい兆しに包まれていたさなか、昨年、御承知のとおり、新型コロナウイルスの大きな波にのまれたわけであります。  そのような状況であればこそ、私はこれまで議員の役目の中で、世相や社会、経済情勢がいかによかろうと悪かろうと、我々議会が果たすべき本分は住民福祉、すなわち住民がいかに幸せに暮らすことができるか、そのためにどれだけ力を尽くすことができるかということを学んできました。コロナ禍の今、いかにこの苦境を乗り越えるか、そして、このコロナ禍を乗り越えた先を見据えて将来の鳥取県を担う人材の幸せを願う思いで、本日は会派を代表して質問させていただきたいと思います。  住民が幸せを感じながら暮らす社会、個人が尊重され、多様な意見や考え方がある社会では、住民の要望は多岐にわたり、行政や議会の役割は限りなく広がっていきます。それらに的確に応えていくことは重要ですが、限りある資源、財源の中で重点的に取り組むべきは何であるか。私は、やはり人材の育成、人が育つ場を提供する、そのことが最重要であるのではないかと考えています。  ある学者が言うには、2030年頃には多くの分野で人手不足は解消する。しかし、人材需給にミスマッチが生まれる。つまり、ICT技術の進展により、AIやロボットが不足する人材の代わりを担う、取って代わられた人間は活躍の場が失われる。言い換えれば、社会の発展に人材、教育がついていけない世の中になってしまうということが予想されます。  明治期以前の人々は、日が昇れば仕事に出て、日が暮れる頃に家に帰る。生涯の生活環境がさほど変化がなかった時代には、日ごと繰り返し同じ生活の中で一生を過ごした。技術の進歩が緩やかであれば、変化に順応した改革を進めるための教育よりも、有事に対応する体力、資力、体制の秩序の維持、倫理の保守が重要でありました。  翻って、現在の私たちはどうでしょうか。私が生まれた頃、私は1952年ですが、交通手段はバスか汽車、県外に行くのも大旅行でした。今は新幹線や飛行機で関西や東京が日帰りできます。また、多くの世帯で車が一家に1台以上あり、また、家庭の中では信じられないほどの電気製品があふれています。  Society5.0の時代に、今後ますます進化の速度は速まっていくでしょう。こうした日進月歩の社会を生き抜くためには、変化に対応でき、かつ先進的に取り組む人材が不可欠であろうと考えます。私たちは資本主義経済を選択しております。資本主義は成長を前提としたシステムです。地域や家庭を守り育て、住民の幸せな暮らしをデザインするためにも人材育成は必要不可欠です。  昨年10月に改定された鳥取県の将来ビジョンにおいて、コロナ克服、デジタル技術の進展、高速交通網の充実化を踏まえ、持続可能な地域の発展を目指した未来への挑戦が示されております。本県が目指すこの10年後の姿に向けて、知事はどのような人材育成を図っていこうとされるのか。人口減少社会において、本県の持続的な発展を支える人材をいかに育むべく、将来を見据えた土台づくりとも言えるこの任期後半の2年間にどのように取り組んでいこうとされているのか、所見を伺います。  次に、令和3年度予算編成方針と将来を見据えた財政運営についてお聞きします。  昨年12月21日、政府は、過去最大の一般会計総額106兆6,097億円に上る令和3年度予算案を閣議決定し、あわせて、地方財政対策が決定されました。このうち地方交付税総額は、今年度から約8,500億円増の17.4兆円、臨時財政対策債の増加を可能な限り抑制しつつ、実質的な地方交付税は22.9兆円が確保されました。とりわけコロナ禍の影響を踏まえた当面の対策はもとより、デジタル化の推進、激甚化、頻発化する自然災害に備えた防災・減災、国土強靱化の推進、まち・ひと・しごと創生事業費地域社会再生事業費など、地方創生、地域社会の持続可能性担保のための財源が継続して確保されることとなりました。  このような措置は、大変厳しい財政運営を強いられる地方に対して一定の配慮が図られたものであり、知事が発起人を務める地方創生実現財政基盤強化知事連盟などの継続的な要望活動の成果として高く評価しております。その一方で、減収補填債対象税目拡充は今年度に限られるなど、特例的、時限的と言われた対症療法的な措置もあり、コロナ禍の影響がいつまで続くか見通せない中、将来に向けた持続可能で安定的な財政運営を図っていくためには、地方交付税法定率引上げが抜本的に必要と考えます。
     ついては、このたびの地方財政対策を知事はどのように評価され、本県の財政運営にどのような影響があると認識されているのか、所見を伺います。  また、冒頭にも申しましたが、鳥取県の将来ビジョンを踏まえて、新年度はコロナ禍を克服し、将来を見据えた土台づくりのスタートとしていかなければなりません。いかにしてこの厳しい情勢にある地域経済を立て直し、コロナを封じ込めて県民の幸せを実現していくのか。提案理由説明で知事は、命と健康を守ると力強く宣言されました。令和3年度当初予算総額約3,500億円というこれまでにない大規模な予算案に込めた知事の思いをお聞かせください。  次に、新型コロナウイルス感染症対策の強化についてであります。  新型コロナウイルス感染症は、全世界で感染者が1億1,000万人を超え、新規感染者は減少傾向にありますが、感染力の高い変異株の拡大が懸念されております。本県では、新規感染者が発生した場合、積極的な疫学調査を実施し、濃厚接触者等に対してローラー的なPCR検査を実施することとしており、ウイルスを囲い込み、感染拡大を食い止めてまいりました。また、感染状況に応じた病床確保計画を運用し、感染が判明した場合には、まずは入院治療を行うという方針で、症状が安定した方のみを宿泊療養施設に移っていただくという非常に行き届いた医療提供体制が取られていると思います。  しかしながら、知事が、新型コロナウイルスの威力が増し、うつりやすくなっている感覚があると言われるように、昨年末からの1か月のように複数のクラスターが発生し急激な感染拡大となった場合、こうした丁寧な対応がどこまで実施できるのかという懸念もあります。特に第三波は重症化しやすいという傾向もあり、病床のみならず医療人材の確保が重要な問題と思います。もともと医療提供体制が必ずしも潤沢でない本県において、特に圏域によって確保病床や医療人材の状況が異なる中で、いかに医療崩壊を防ぎながら県民の命を守っていくのか、改めて知事の所見を伺います。  次に、新型コロナウイルス封じ込めの切り札として期待されるワクチンの接種体制についてお尋ねします。  先月14日、米国製薬大手ファイザー社のワクチンが特例承認され、2月17日から医療従事者の接種が始まっております。ワクチンの提供の遅れにより、流動的ですが、4月12日以降に高齢者、そして基礎疾患のある方、そしてそれ以外の方へと順次接種される予定となっております。  しかしながら、ワクチン接種には様々な課題が浮上しております。まず、接種を行う医師や看護師の確保、集団接種等の会場の確保が必要です。また、ファイザー製のワクチンはマイナス75度前後の超低温管理が必要で、解凍後5日以内に使用する必要があり、効率的な接種スケジュール調整が必要となります。さらに、ワクチン接種後のアレルギーなど副反応が出た場合の体制も必要です。  このように多くの課題を克服するため、国、県、市町村、医療機関、物流業界など関係機関が緊密な連携を図りながら対応する必要がありますが、医療史上最大のプロジェクトとも言えるワクチン接種について、県としてどのように進めていこうとしているのか、知事の所見を伺います。  それでは、次に、新しい観光業の可能性についてお伺いします。  我が国の観光業は、約1年に及ぶコロナ禍によって甚大な影響を受けております。多くの事業者が存続の危機にさらされており、制度融資や雇用調整助成金などの活用によって何とか営業や雇用の維持に努めておられます。言うまでもなく、観光業は動きの活性化によって成り立つ産業です。国内でもワクチン接種が始まり、近いうちに現在の状況が収束に向かうことを大いに期待いたしますが、未知の感染症によって再び人類が同様の災禍に見舞われることに備え、コロナ禍による教訓を踏まえた新しい観光の形を事業者と一緒になってつくり上げることが必要です。コロナ禍で見えた観光業の課題をどのように認識しているのか。また、それを踏まえた新しい時代の観光の在り方をどのように考え、県としてどのように戦略的な対応を取っていくのか。事業者は必死になって考えておられると思います。県としてどのような支援ができるのか、知事の所見を伺います。  次に、人口減少を抑える少子化対策についてお伺いいたします。  20世紀の終わりから国内では長期にわたる不況が続き、それとリンクするかのような未婚化、晩婚化が進み、出生率の著しい低下につながっているところであります。日本の人口は、2008年の1億2,800万人をピークに、急激な人口減少社会に突入いたしました。明治の開国以来、戦前までの富国強兵、殖産興業、産めよ増やせよの大号令という時代を経て、戦後、人口過剰問題に直面する中で実施された人口抑制策高度経済成長期には地方から都市部への人口供給による過疎化と過密化という国内での二極分化、そして女性の社会進出を促す雇用機会の均等化、その後、バブル崩壊に伴う海外への労働移転と国内産業の空洞化、就職氷河期世代という人生設計にハンデを負わされた世代の出現など、様々な政策の変遷の中で、我が国の人口は増加から減少局面へ転換しております。これまで我が国がたどってきた歴史の中で取られてきた政策は、もちろんその時々で時勢に沿った判断によるものだったと思いますが、人口政策に焦点を当てて振り返ってみれば、果たして我が国の適正な人口規模はどれくらいなのか、現在の人口減少社会は政策が招いたものなのかという疑問を感じます。  世界の先進国が軒並み少子化による人口減少問題を抱えているように、我が国が人口減少社会に至ったのは当然の帰結であり、必然であったのではないかとも思えるわけであります。実際、明治以降150年の間に、我が国の人口は4倍となりました。明治期3,300万人から3,400万人が1億2,800万人まで、150年で増えたわけです。18世紀、産業革命で人口爆発が起こったイギリスでさえ100年間で2倍の増加でした。これを比較しても、我が国の人口爆発は予想すら超える規模だったのではないでしょうか。  我が国の歴史を振り返り、今日の少子化及び人口減少の実態に至る国策に対する総括的所感、そして、そうした歴史を振り返る中で見えてくる本県の少子化及び人口減少対策が抱える課題について、知事の所見を伺います。  次に、人生100年時代の健康寿命の延伸についてお伺いします。これは4年前の代表質問でもお伺いしましたが、少し視点を変えて再度御質問いたします。  健康寿命の延伸は、個人が老後を健康で豊かな生活を送ることに加え、社会全体として元気な高齢者の活躍による地域の活性化、医療、介護費用など社会保障費の抑制といった効果が大いに期待されております。医療技術の進歩等により平均寿命が延び、人生100年時代と言われる今日において、持続可能な社会保障の構築といった観点からも、健康寿命の延伸に向けた取組はますます重要と考えます。  県が平成30年に策定した第3次鳥取県健康づくり文化創造プランにおいて、令和5年度までに、健康寿命、平均寿命とも全国順位10位以内を目指すとされております。県はこのプランに基づき、地域において体操教室など運動による健康づくりの取組を実施する団体を支援する健康づくり鳥取モデル事業や、まちの保健室事業などの取組を実施しております。  先ほども言いましたが、代表質問、また一般質問で、私は今まで知事に智頭町の実例などを御紹介させていただき、知事からも琴浦町などのモデル事業の紹介がありました。しかし、私は質問以来、県の取組は是としながらも、結果には甚だ寂しい思いをしております。改めて新型コロナウイルスの感染状況を考慮しつつ、健康寿命延伸に向けた取組を全県に展開すべく情報提供の場を設けるなど、県下19市町村への働きかけを強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  また、健康寿命の延伸とともに、人生最後まで尊厳のある生き方を実現するため、アドバンス・ケア・プランニング、人生会議という取組が進められております。これは患者本人と家族が医療・介護従事者と一緒になって、将来の意思決定能力が低下する場合に備えてあらかじめ終末期の医療や介護について話し合い、本人の希望に沿ったものに近づけるプロセスです。現在、県では地区医師会の取組を支援し、パンフレット配布や出前講座など普及啓発に努めていますが、地区により取組度合いが異なるようであります。最後まで尊厳のある生き方を実現できるよう取組を強化すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。  次に、2050年ゼロカーボン社会の実現に向けてを質問いたします。  世界を一変させた新型コロナウイルスは、なぜ人間社会に広がっていったのか。WHOの調査官の分析によると、新型コロナウイルスは、中国雲南省のコウモリの洞窟で発現した可能性があるとのことです。本来、人が適切な距離を取るべき野生動物の生息地に入り込むことで未知のウイルスに感染し、さらに、グローバル化した経済、社会によって感染爆発が起こっているのではないでしょうか。このような観点で見ると、コロナ禍で問われているのは、人類の地球環境との向き合い方や、人類がつくり上げてきた経済や社会システムの在り方ではないか、私はこのように考えます。  今まさに地球環境との向き合い方、経済、社会システムの在り方が問われているのは、地球温暖化の問題だと思います。18世紀に始まった産業革命以降、石炭、石油、天然ガスなど化石燃料の使用の急増により、大気中の二酸化炭素濃度とともに気温が上昇し、世界中で猛暑や豪雨など異常気象が発生しております。また、シベリアやアラスカに広がる永久凍土には、古い有機炭素堆積物により大気中の2倍の炭素量が含まれております。もし温暖化が進み永久凍土の溶解が始まれば、温暖化に想像以上の拍車がかかると懸念されております。  地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定には、世界の186か国、地域が参加し、温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいます。そして、世界第2位の排出国の米国がバイデン大統領の就任によりこの協定に復帰することは、大きな契機になると思います。世界では欧州を中心に、コロナ禍で落ち込んだ社会経済活動について、これまでの経済優先の社会に戻すのではなく、この機会を契機として、脱炭素で持続可能な社会への投資を行うことで復興を目指すグリーンリカバリーという考え方で、様々な取組が進められております。我が国においても脱炭素社会に向けたグリーン成長戦略を政府が発表しており、基本的には同様な考え方に基づくものと思われますが、世界の潮流に遅れないよう、どれだけ本気で取り組むか注視する必要があると思います。  私は平成27年の代表質問のとき、20世紀は戦争の世紀であり石油の時代でした、21世紀はどのような世紀になるかとお聞きしたとき知事は、環境の世紀だと、そのときに既に述べられております。2050年脱炭素宣言を行った本県においても、その実現に向けては、これまでの取組の延長線ではなく、こうした考え方に基づいて国の施策と呼応し、経済や社会システムの構造転換を図りつつ積極的な投資を行う必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いし、1回目の質問をこれで終わりたいと思います。 ◯議長(藤縄喜和君)27番西川憲雄議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)西川県議の代表質問にお答えを申し上げたいと思います。  西川議員のほうから、冒頭、今の大局につきましてのお話がございました。議員が御指摘なさいましたように、これまで私たちは、議会、そして私ども執行部、力を合わせながら、例えばインバウンド観光であるとか、あるいは生産性の向上に伴う地域における製造品出荷額の向上、あるいは地域での様々な健康づくりをはじめとした集まりを積極的にやる、様々なそうした対策を取って活性化を進めてきました。おかげで、たしかインバウンド観光客も年間20万人近くに膨れ上がってくるなど、顕著な成績を収めていたと思いますが、議員が今おっしゃったように、まさに新型コロナによりますその影響で、全てが水の泡になってしまった感もあります。  ただ、私たちは、議員がおっしゃったように、ここで諦めていてはいけないのである、むしろ新しいトレンドは何なのか、そこを見ながら次の挑戦をしていく、そういうしたたかな姿勢が求められるのではないかというふうに思います。特に、議員も最後におっしゃいましたが、こうした地球温暖化対策をはじめとした自然の偉大さというものに対する敬意を払うこと、これは我々が環境の世紀の中で果たしていかなければならないテーマなんだろうというふうに思いますが、この大自然に抱かれているからこそ、鳥取県では恐らく感染症に対して強さがあるのではないかと思います。また、適度な人の距離感等もあって、つまり一定の空間を私たちは常に持てるわけでありますし、別に狭いところの繁華街に遊びに行かなくても、海へ行ったり山へ行ったり、そうしたことでストレスの発散も可能なわけであります。子供たちも伸び伸びと過ごすことができる。本当の暮らしや幸せの形は、むしろ私たちのような鳥取県のようなところにあるのではないだろうか。私は今、時代はそこに気づき始めたと思っています。  新型コロナは大変な災禍でありまして、私たちは、まず命と健康を守る闘いをしていかなければなりません。これは議会においてクラスター対策条例を制定していただくなど、大いなる御協力をいただきました。おかげで一定の成果を上げることができてきていると思います。その証左として、今もって感染者累計が210人と、全国で最も抑えることができておりますし、亡くなられた方、残念ながら2人いらっしゃいますが、ただ、人口当たりでいいますと、島根に次いでうちは最も少ないグループに入ります。そのように成果を上げることができている。これは医療面でもそうした形を取ることができました。恐らく鳥取県はそういう風土があるのだろうと。自然もしかりでありますし、人々が医療界も、また事業者も皆で、我慢すべきことはいろいろありますけれども、ただお互いに支え合い、そして励まし合ってやってきている。それが今成果を上げてきているのではないかなというふうに思います。  「ふるさとの父の咳する度に斯く 咳の出づるや 病めばはかなし」という石川啄木の歌があります。来週の今日は東日本大震災10年の日になります。東北に生まれ育った啄木が、必ずしも父と折り合いがよかったとは思えない、そういうふうにも伝えられています。しかし、そのふるさとの父、お父さんがせき込んでいる、そういう姿を見て、肉親としての切々たる情が生まれてくるわけであります。  私たちは、まず、この新型コロナとの闘いを制さなければなりません。恐らくこれには時間がかかるだろうと思います。今月に入りましてWHOは、年内の収束は無理ではないかと言い始めています。ワクチンが行き渡る時期、我が国においても年内に本当にやり切れるかどうか、これは今の供給の状況、また正直申し上げて、いわゆる先進国だけがワクチンを独占していいのかという問題も出てくるわけでありまして、必ずしも順風満帆に事が進むわけではないのだろうというふうに思います。ただ、その中でこうした、我々、第一波、第二波、第三波を乗り越えてくることができた。その確かな経験と我々の結束をもって、ワクチンが行き渡り治療法が確立されるまで、勝利を収めるその日まで、鳥取県を挙げて闘いを続けていくことが大切なのだろうと思います。そして、それとあわせて、議員も触れておられますように、では、未来に何をつくり出すことができるのだろうか。今は曖昧にしか見えない、そういう未来の姿を私たちはしっかりと構想して、そしてそれに向けた新年度予算を編成し、可決をしていただき、また、それを執行していく中で新たなスタート、もう一度出直すスタートを始めなければならないのだと思います。そういう決意をお互いに共有することが、今こそ大切なのではないかというふうに考えております。  まず、議員のほうからは、人につきましてお話がありました。いかにして人材を育んだり、あるいは確保していくのか、特にこの任期の後半2年間、どういうことを考えたらよいのかということであります。  この新型コロナとともにトレンドが今確かに変わり始めているなと思いますのは、東京都において転入、転出が、転入超過が当たり前だったところが転出超過に今変わり始めています。5月以降を見てみますと、6月を除いてずっと転出超過になってきていると。多くは関東圏でとどまることにはなるわけでありますけれども、では片方で鳥取県はどうかということでありますが、転入超過のほうに若干シフトしているのですね。同じ5月以降を見てみますと、6月と9月以外は転入超過になってきています。そして細かいデータをいろいろと見てみますと、興味深いのは、ゼロ歳、1歳、2歳、4歳といったような、そういう年齢のレンジのところでありますが、こちらは昨年、125名転入超過になってきていると。今までなかったことですね。0歳から4歳のお子さんが自分で引っ越してくるわけではありませんので、何を物語っているかというと、先ほど申しましたように、このコロナの中で、やはり伸び伸びと子供を育てるのだったら鳥取で暮らしたい、こういうことで引っ越してこられている方の顔が見え始めたのではないかと思います。その辺に、今後の私たちがつくり上げていきたい未来の形が隠れているのではないかなというふうに思います。  今、高校卒業の生徒さんたちも、就職される子供たちにつきましては就職が内定しています。内定率は、例年どおり比較的高くきています。その中で県内就職がアップしてきています。これもいい傾向かなというふうに思います。また、大卒のほうでもUターンが増えてきていると。これも今、大学の当局の方にお話を聞いたりいろいろしますけれども、そういうトレンドが出てきているということです。まだ大きな波にはなっていないかもしれませんが、価値観が変わり始めているということは最低限言えるのではないかなというふうに思います。ですから、こういうふうな形で人材確保という面で見ますと、ある程度玄関を広く開けて、様々な形で鳥取に関わっていく人を増やしていく、そうやって人材を確保していくことが一つは大切なんではないかなと思います。  私は、移住定住をここまで進めてきて、おととしも2,169名と非常に多かったわけでありますが、ただ、昨年は残念ながらコロナということになったわけでありますが、このトレンドはある程度引き寄せられるとは思います。ただ、ロットがある意味知れているのです。このコロナの中で我々が経験をいたしましたのは、インターネットなども通じて副業を呼びかけるとか、あるいはワーケーションのセミナーをするとか、そうしたときにかなりの手応えが感じられることであります。企業側にとりましても、今まで得られなかった人材が、例えば副業だと単価が安く来ていただけるということになります。もちろん受けられる便益、労働というものは限られたものになるかもしれませんけれども、ただ、今までよりも成長しようとした場合に企業の得られる人材の幅というのは、こうしたところを通じていけば広くなるかもしれない。中には、都会で出勤もままならない中で疑問を感じている人たちは出てきているわけですね。こういう方々が、企業のほうで副業解禁をしつつあるわけであります。現に今日も新聞でも出ていましたが、経団連などもそうした方向を推奨していこうと。経団連さんとは、実は12月に経団連に観光関係者と一緒に来ていただいたのですが、鳥取でのワーケーションだとか副業だとか、そうした状況は見ていただいて、うちと和歌山に来られたのですけれども、正直、鳥取は非常に意欲的にやっているという御評価をいただいたところであります。  それのやはりトレンドというものがあるわけでありまして、大手企業ほど副業というものを真剣に考えるようになってきていると。言わば人材の共有化をしようということですね。こういうトレンドが今動き始めていて、それを引き寄せたほうが、よほど早く我々の地域を変える力になるかもしれないと。これは今までの概念になかったことでありますが、そうした副業、ワーケーションといったようなスタイル、これも幅広く取れないだろうか。中には、副業はいいけれども報酬はもらうなという会社が実は多いのです。これは本当にそうなのです。2割かそこらぐらいは報酬を取ってもいいというのかな。ただ、多くのところは、まだそこまで人材を手放そうと思わないと。でも、それでも応募したい人はいるのです。プロボノ的な感じだろうと思います。  それで、こういうような方々、あるいは観光でも滞在型、そういう長期におられる方々、いわゆる今まで関係人口と呼んでいたような方々を今ある程度もう少し前広に、あなたは副業だとかワーケーションだとか移住だとかあまり言わずに、全部一緒に、とにかくちょっと鳥取を見てみませんかと、企業と話をしてみませんか、あるいは観光してみませんかというような呼びかけを、言わば一つのパッケージでやったらどうかなと。こういうアイデアで、ふるさと来LOVE(クラブ)とっとりという事業を新年度に立ち上げてみようと考えております。この中で誘因策として、そのためのパスポート的なメンバーズクラブをセットして、今まで移住定住でやっていたような特典をこうした人たちにも広げていこう、そういう様々な、こちらに実際に来ていただくような事業をやってみようと。このような形で人材確保を図るということを一つテーマにしていく。これがコロナと一緒の時期、それからコロナの後の時期、これから2年間は多分そういう非常に微妙なタイミングだと思います。この辺の道筋をしっかりつけるのが一つのテーマかなと思います。  あともう一つは、やはり教育も大分システムが変わってきていまして、現に大学入試が変わりつつあります。それから、それぞれの人材を育てる意味でも、例えば国際的な人材を育成するとか、そうしたことがいろいろあるでしょう。そういう多様な、高校の魅力化等も含めたことを進めていく必要があるのではないか。現にそうした意味で伸びている分野というのもあるのです。智頭農林高校などもそうでありまして、最近は、横浜からやってきたとか、千葉からやってきたとか、もう全国区で子供がやってくるようになっている。なぜかというと、林業に挑戦したいという子供たちがいるわけですね。特にこのコロナの中で学校に出るのもままならないとかいう経験をした子供たちにとりまして自然の中で暮らすということは、受皿がしっかりしていれば伸びる余地があるのではないだろうか。  こういうようなことと併せて、高度な人材の育成。今回、予算の中でも提案させていただいていますが、国際バカロレア、これの教育に踏み出そうと考えております。倉吉東高校を舞台としてやってみようと。日本海側では初めての開設ということになります。これは新年度からその準備に取りかかりまして、それで、できれば我々の任期中にインターナショナルバカロレアの学校、IB校の資格取得をして、それで次の任期、その翌年から第1期生を受け入れると、そういう道筋をつけるようなことができないだろうか。これからの2年間の中でそうした子供たちを育てていく、これもやはり、ふるさとのよさも分かっていただきながら進める必要があるのかなと。先ほど申しましたように、高卒でも県内就職が増えるトレンドが今シーズンは出ました。ふるさと教育とかをしっかりやって、そうした人材、未来の牽引者たる次の世代の皆さんに鳥取のことを理解していただく、そういう教育、ふるさと教育も拡充していく必要があるのではないかなというふうに考えております。  こういうような形で、人材の確保、それから育成の両面にわたりまして我々の新しいチャレンジ、これを支えていただく人づくりを進めてまいりたいと思います。  次に、新年度予算編成につきまして何点かお話をいただきました。このたびの地方財政対策をどう評価をしているのか、また、本県の財政運営にどういうような影響があるのか、さらに、このコロナ禍の中でありますけれども、どういうふうに地域経済を立て直したり県民の幸せを実現していくのか、今回の予算の考え方はいかがかと、こういうお話でございます。  現在、財政状況は厳しさがありますし、非常に厄介なのは見通しが難しいということです。取りあえず今回、新年度予算は何とか組みましたという御報告はできますが、その次の年、次の年と、経済が弱ってきていますので、税収のこと、あるいは国全体を考えても、そうした国家財政による地方交付税などのしっかりとした財政措置が得られるかどうか、不透明感は高まっていると言わざるを得ません。ただ、そういう中で今回の地方財政対策は一定程度、地方に配慮していただけたと、そこは評価したいと思います。  実は、本県の税収、それから譲与税、また消費税の精算金といった、こういう税金の関係の関連収入があります。これにつきましては77億円の減収を見込んでおります。ただ一方で、私どもは地方創生を確立するための財政基盤強化の知事連盟を結成し、これによる経費の積み増しを地方交付税上してもらいました。これが継続されて4,200億円来ているところであります。また、そのほかにもデジタル社会に向けた2,000億円の積み増しなどもありまして、交付税関係でいきますと国全体で9,000億円積んでもらっていますし、さらに臨時財政対策債、こちらのほうも増やしていますので、実質的な交付税としては3兆2,000億円増やしたという格好になっています。これが影響しておりまして、私どもの現実の交付税は19億円、それから実質的な交付税ベースだと77億円増えた格好になります。先ほど申しましたように、税金の関連で77億円減収していますが、実質的な交付税を77億円獲得することができそうだと、これで何とか予算が組めたという状況であります。  このようなことで、財政運営としては不透明感はあるところでありますけれども、しっかりと財政健全化も維持しながら進めていきたいと考えております。  今回の予算としては4つのテーマを掲げましたが、多くは新型コロナに関連することとせざるを得なかったところであります。今はお金や手間を惜しむときではなく、命を惜しむときであります。その意味で、経済とか暮らしも含めて支えていかなければなりません。  まず、医療体制や検査体制、コロナと闘うほうでも一つ大きな事業立てが必要でありますし、それから経済や雇用を取り戻していく、また暮らしを安定させていく、こういうことも必要であります。さらに、新型コロナにもたらされたパラダイムシフトを生かしまして、コロナ後を見据えた新たな時代づくりに乗り出していくというようなテーマも掲げさせていただき、災害対策や安心安全をつくっていく、そうしたことも4つ目のテーマとして掲げさせていただきました。  実は、1月臨時議会で議員の皆様から補正予算を認めていただきました。それを含めた15か月予算と考えていただきますと、この4つのテーマはそれぞれ140億円台、150億円台でございます。かなり大型の政策経費を積ませていただいたということであります。コロナと闘う観点では、医療体制の充実や検査体制の充実を引き続き図らなければならないと思います。  昨日、菅総理が官邸におきまして緊急事態宣言は継続をする方針をおっしゃり、考え方としては2週間程度でどうだろうかと、これを専門家の皆さんや、あるいは関係自治体と図りたいと、こういうお考えを述べられたところであります。現状からすると、私はやむを得ない決断だろうというふうに思います。  そういうような意味で、これをやはり進めていかなければならない背景があると思うのです。一つは、隣の兵庫県神戸市が独自に研究調査をされまして、今、変異株が50%だったと。これはだんだん増えてきていまして、その前の週は14%だったのが50%まで増えてきていると。1月頃はまだなかったところであります。こういうように変異株が増えてきているわけであります。  鹿児島とか、それから岡山、あるいはこの近所でも広島が今、変異株の疑いありというふうに言っています。ちなみに鳥取県もスクリーニング調査をしています。今もってイギリス型等の変異株は確認されていません。スクリーニングにかかっていないと。そもそも感染者を大分抑えていますので、感染者が止まってきているということもありますが、今出ていないというのは御報告できます。  ただ、これは早晩変わると思います。ウイルスの世界というのは変異が必ず起きます。2週間ごとに入れ替わってくるとすら言われます。そういうような中で、変異株が実は常に発生しているわけですね。外来型の変異株が今話題になってきているということでありまして、恐らく置き換わりが始まってくるだろうと。東京などは変異株が少ないように見えますが、はっきり申し上げれば、多分検査ができていないと思います。ですから、静岡で先に見つかりましたが、静岡で最初に見つかることは本来不自然でありまして、恐らくは関東等でもっとあったはず、それが流れてきているということだと思います。ですから全国で実は蔓延しているのではないかという状況です。  こういうようなことが繰り返されてきまして、ウイルスの感染力が高いものが来ますと、ぐっとまた波が上がってくる可能性があるのです。感染数が急増する可能性を今はらんでいる状況だと専門家も見ていて、安易に緊急事態宣言を解除すべきでないのではないかという議論が専門家を中心にあるのは、私はうなずけるところではないかと思います。  実は本県も、年末年始に一気に膨れ上がりました。年末段階では119名の感染者数だったのが、今210名。100人ほど増えているのです。年末以降、1月、2月でこんなに増えてしまった。特に年末年始に急増しました。これは、実は他県も同じです。山を見ていただくと分かりますが、どこの県も一気に増えているのです。これは年末のクリスマスシーズンなどの人の動きや会合があったからだと解説をされますが、私はそれだけではないと思います。  実は仲間の知事ともよく話をするのですが、あのときは何かあったと、理由があっただろうと。今、変異株の話が出てきていますのでうなずけるのですけれども、何らかウイルス側の形があったのかもしれないと。もちろん寒いから風通しが悪かったとか、それから人の動きが年末年始あったとか、いろいろ事情は重なったかもしれません。ただ、それだけで説明できないぐらいに感染力が強かったです。私どもも本当に現場の担当者と、年末年始も大みそかもお正月もなく、ああだこうだと話し合って作戦を練って、では次はあそこを検査しようということを連日繰り返していました。今正直申し上げると、境港に時短要請をしようかと考えた時期もありました。それぐらい実は状況は深刻でありまして、非常にウイルスの回りが速かったです。今調べていますと、あのとき境港あるいは米子でのクラスター発生、それから東部地区での集団的な感染、こうしたものの遺伝子解析をしていまして、そのほかにも例えば倉吉のクラスターだとかいろいろあるのですけれども、第三波の一つのゾーンがありまして、大体この中のこちらだこちらだと入るのですが、非常に激烈な感染をしたところは、本当に不思議なぐらいにある特定のところに遺伝子が限られているのです。ですから恐らく感染力が強かった、そういう株があったのだと思います。そう考えるのが自然だと思うのです。  実は、これは多分山陽方面から来ているかもしれないと思っているのですけれども、あちらのほうも特徴的な動きをしていたのです。思い出していただけると思うのですが、12月頃に急に増えたのです。それが今では大分収まっていますけれども。そういうようなことは、やはりあるのです。ですから今収まってきているのは、これはもしかするとウイルスが変わってきているからかもしれないと。必ずしも緊急事態宣言が成功しただけでないのかもしれないのです。ですから、そのウイルスの状況に即して、相手が手ごわくなったらこちらも対抗レベルを上げなくてはいけないと。あの頃の状態、鳥取県は割と頑張っていた県であります。結構防御もしているのですが、そういう中でもやすやすと破られてしまった感じがあるのです。それで今、もっとレベルの高い対策を取りましょうと、高齢者施設だとか、そうしたところへの対策を含めてさせていただいています。  こんなようなことなので、医療体制だとか検査体制を緩めるよりは、今後はもっと強いのが来るかもしれない、それに備えるための準備はやはりやっておくべきだと思います。ですから、若干高いなと思われるかもしれませんが、こういう医療体制、検査体制、コロナと闘うための準備は相応の予算を割かせていただきたいと思います。例えば智頭病院でも、体制を取るために700万円レベルでの対策を今考えたりというところでございます。  こんなようなことに併せまして、経済や雇用のほうでいえば、金融対策を取りあえず6月まで延長しようと。また6月議会がありますので、もしまた足らずがあるとか、まだ状況が悪いというときは延長するという可能性は、我々の共通理解として含んで持っていたらいいと思います。ただ、今のところは一応6月まで延長するぐらいの予算は確保しておこうと。それからまた、観光だとか、また雇用の移動、そういうことの応援だとか、そうしたことなどを含めた丁寧なフォローアップをさせていただきたいと思いますし、生活福祉資金などの貸付事業など、そうした対策も取らせていただくと。こうやって何とか経済社会対策を今はフォローすべき時期だと思います。やはり病気だけでなく、こうした状況によって命や健康も脅かされるわけでありますので、この辺の対策も相応の予算を割かせていただきたいということです。  あとは、先ほど申しましたふるさと来LOVE(ラブ)とっとりのような、パラダイムシフト後、価値観の転換後に向けた、そうした新時代を開くような予算も用意させていただき、また、例えば河川の掘削事業等、これも命に関わる大事なものでありますので、そうした対策経費や障害者対策、あるいは高齢者の福祉、あるいは教育などなど、様々な予算を計上させていただきたいと思っております。ぜひ御審議いただきまして、実りの多い成果につなげさせていただければと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症につきまして何点かお尋ねがございました。もともと医療体制が潤沢でないので、医療崩壊を防ぎながらどうやって県として守っていくのか、また、ワクチン接種をどういうふうに進めようとしているのかというお尋ねでございます。  これにつきましては、鳥取県は、実は堅めにこれまで進めてまいりました。実は厚労省の見積りでは、本県の必要病床は118床です。それを見積段階で276床というふうに増やしております。また、重症のほうも17床が厚労省の必要病床なのですが、私どもでは40床必要だというふうにまずは想定をしました。その上で、現在数でいいますと病床を317床確保しています。276床と申し上げたものよりもさらに40床上増しをしていると。それから、重症のほうも47床取らせていただきまして、今想定している悪いほうのモデルを取っても耐えられるぐらいの病床を確保しているということであります。これは人口対比で全国で1番であります。  検査能力のほうも、現在4,900検体を検査できる能力を用意させていただきました。最初は120検体からスタートしていますので、大分増やしたものであります。これも全国で人口当たりナンバーワンでございますし、こういうことを利用して早めにローラーをかけて検査をするというやり方を独特のものとして、鳥取方式でさせていただいています。ですから、陽性率は実は全国で一番低いです。検査もしっかりやっています。しっかりやっているものですから、クラスターとかも大分経験しましたけれども、感染者がそれでしみ出していかないと。ですから感染者数を抑えることができていますので、勢い陽性率は全国で一番低いということになっています。何とかこれを維持していきたいと思いますし、さらに御協力を得ながら増やしていこうと。例えばこの検査体制につきましても、新年度予算を含めれば6,000検体分は超えられるような、そういうレベルまでは引き上げていけると考えております。さらなる増強を図っていこうというものであります。  入院のトリアージということもさせていただいて、圏域を超えた移動ということをこれまでもやっていますし、場合によっては県境を越えて患者さんに動いていただくということも進めております。正直申し上げて、非常に重たい病状になられる方もいらっしゃいます。それはやはり丁寧に医療体制でフォローしていかなくてはいけないのです。やはり様々なバイタルデータ、SpO2などを調べたり、それから肺の状況などを検査したり、病院でないとできないこと、これをやろう。したがいまして、今でも全員入院を原則にしております。そういう中でも重症化される方もいらっしゃるところでありますが、それに対して、例えばアビガンだとかステロイド系のお薬だとか酸素吸入、場合によってはECMOを装着された方も今までいらっしゃいます。そういうような医療を丁寧にやることで、残念ながら高齢者の方で若干2名の方がいらっしゃいましたけれども、もともといろんな基礎疾患だとか事情のある方々でございますが、そうした方々以外のところでかかられて悪くなられた方は、今のところ重症までいっても皆さん引き返していただいています。現実に、現在3名入院されておられますけれども、いずれも症状なしという状態でありますが、中には重症化されて長くなっておられる方もいらっしゃいます。他県では15日たつと重症者は退院させるのですけれども、うちは完全に陰性化するまでしっかりとお預かりをして回復を図ろうと。これも鳥取県独自のやり方をやっております。こういうような丁寧な体制を組むために、予算も含めて、皆様でもお認めをいただければありがたいと思います。  ワクチンにつきましては、現在、まず先行接種というのを国立鳥取医療センター、それから米子医療センター、そして山陰労災病院で行っておられます。これらで対象者は大体1,000人を超えるぐらいいらっしゃるのですが、そのうち860名程度は接種が終わってきているところでございます。先行接種は今進みつつあるというふうに御理解いただきたいと思います。  そして、その次の優先接種ですね、医療従事者等の優先接種につきましては、今日、県立中央病院、それから厚生病院にワクチンが届くということになっております。そして明日にも鳥取大学附属病院のほうにワクチンが届くということになっております。その後、また追加でワクチンは来るわけでございますけれども、これらを東部で3箱、中部で1箱、西部で2箱。ただ、2箱で少ないように見えますが、実は病院では山陰労災と、それから米子医療センターで1箱ずつ行っていますので合計数は東部も西部も変わらないのですが、そうした形でワクチンを配分して接種を始めることになります。今の予定では、順調にいけば県立中央病院や厚生病院は来週の月曜日からワクチン接種を始め、東部や中部の医療従事者等に対する接種を開始します。残念ながら、思っていたほどにはワクチンが最初に届いてこない、ワクチンの供給が非常に厄介な状況にありまして、鳥取県はそういう中でも人口比でいえば来ているほうだとは思いますけれども、ただ、限りが出てきましたので、若干予定を変更して、まずはコロナ患者を受け入れる病院の医療従事者、そういう医療体制確保を優先をして、順番づけを変えながら医療従事者等の接種を進めていこうということであります。これがいよいよ今月、来週から現実にスタートをするということになりそうです。  また、市町村のほうでありますけれども、鳥取県には2箱、10箱、10箱というふうに、週を追って4月5日以降届くことになります。それについて私どもでは今、ワクチン接種体制協議会というのをつくっておりまして、これに市町村長さんや医師会の幹部の皆さんが入られまして協議を進めております。前回は2月25日に協議をいたしました。そこで急遽提案をし、みんなで話し合った結果でありますが、22箱でありますので、1箱ずつ市町村に配るということでやってみようと。残り3箱は、融通分として足りないところにまた出すとか、そうしたところで県のほうで留保させていただいてやろうと。それを2箱、10箱、10箱と、4月5日、12日、19日、それぞれの週に届くように政府のほうに連絡をしていこうと、こういうことにさせていただいております。一番大切なのはスケジュールが組めないのではないかということなので、今日、明日の間にも、市町村ごとにどの週で届くかということを市町村と話し合って決めていこうと考えております。既に市町村の意向はアンケート調査で出てきておりまして、それを今日、明日ぐらいで調整をして、それで接種の順番づけをしていこうと。市町村は、必ずしも早くくれとは言っていないのです。どちらかというと、やはり準備もありますので、どこかで1箱来るのだったらこの週といういろんな希望がありますので、できるだけそれに沿っていければなというふうに考えているところであります。  こんなような形で進めていくわけでありますが、このワクチン、当面はファイザーでいくということであります。アストラゼネカとか、あるいは武田薬品がモデルナと一緒に出すワクチン、これらについては今審査が進んでいるところです。モデルナ系もこのたびまた申請が来るということになっているのですが、そういう意味でまだ許可されていない状況であります。ですから当面はファイザーでいくことになると思います。ファイザーの場合は、65歳以上といった高齢者には効果があることが検証されていますので、ファイザーのお薬を使うことは合理的ではないかなというふうに考えているところでございます。  私も知事会の役回りがありまして、今、毎週のように、河野大臣とテレビ会議方式で意見交換をしたり調整をさせていただいております。現場の状況としては、とにかくスケジュールが組めないので、なかなか来ないのだったら来ないなりにでもいいからちゃんと早く示してもらいたいと、こういうことでありますとか、副作用、副反応など、そうした情報をしっかりと国民の皆様にも提供する必要があるのではないか等でございます。この副反応等につきましては、県のほうで専門の相談窓口をつくることにいたしまして、来週の月曜日に、看護協会と連携しまして電話による相談窓口を開設をすることにさせていただいております。市町村のほうの窓口は、例えば予約のセンターみたいな感じですね、それで専門的なところは、この看護協会のほうにお願いをしている県の相談センターのほうに多分電話を回してくるというような役割分担で進めていくことになろうかと思います。  次に、コロナ禍での観光業の課題、それから、それを戦略的にどういうように今後立て直していくのかと、こういうお尋ねがございました。  特にインバウンドを中心に、観光客は大きく減ってしまったという実情があります。特に海外との関係は、なかなか回復させようにも、今そもそも入国できないという状態でございますので、また我々としてもそれをお迎えする準備ということもありますから、ある意味致し方ないのかなと。  ただ、こちらのほうはパイプを持ち続けるということが大事でございまして、昨日もエアソウルの曹社長とテレビ会議方式で面談をさせていただきました。回復をしたらすぐにでも飛ばしたいという熱意を向こうも持っておられまして、協力してやっていきましょうというお話をさせていただき、また、エアソウル側からは、今、遊覧飛行をやっているのですが、これで米子上空を飛ぶときに、米子の紹介、山陰の紹介をするのだということをおっしゃっていまして、これに我々も協力をさせていただいています。仁川から出て仁川に帰るというものですが、ここと高松の上空を飛びまして、それで戻っていくわけであります。そんなものと思われるかもしれませんが、搭乗率は90%を超えていまして結構な人気なのだそうです。こういうようなことで何とか客層をつないでいく、また、こちらのほうにブロガー的な方を呼んだり、いろいろと今進めています。これは香港対策や中国対策、それからオーストラリアやアメリカ、シンガポールなども含めて進めています。  国内のほうは、これは4月、5月の緊急事態宣言のときはてきめんにお客さんがいなくなりました。現在、本県は緊急事態宣言の対象エリアではないのですが、この間GoToキャンペーンをやめたということがありまして、それのアナウンス効果だと思いますが、やはり県外のお客様が大きく減っているという状況になっています。特に年末年始にいなくなったのは非常に痛かったわけでありまして、観光業者からも大分要請をいただき、私も知事会の役回りもありますので、政府のほうにも強力に要望させていただき、キャンセル対策、これは例えばお土産物屋さんなども含めて出るようになってきたところであります。  いろいろと対策を取っておりますけれども、やはりお客様がいないという状態が続いておりますが、この間、鳥取県は第三波を乗り越えてくることができました。隣の島根県も同じ状況にありますので、丸山知事と相談をして、今月に入って#WeLove山陰キャンペーンというのをスタートしたところであります。早速週末などはもう予約でいっぱいという大きなお宿も出てきておりますし、それから、例えばイチゴ狩りをする農家さんがあります、観光農園、こういうところももう次から次へと予約が来ると。#WeLoveキャンペーンで山陰両県だと半額になりますので、そういうような効果でもう満杯状態というようなことも出てきています。やはりマーケットは限られているかもしれませんが、安心感が実はお宿のほうにもありまして、やはり山陰の人なら安心して受けられるという本音があるものですから、観光関係からは、この事業については非常に喜ばれています。GoToキャンペーンが始まるまではこれを続けていくことで、島根県と申合せをさせていただいております。  ただ、これは正直、一時しのぎです。GoToキャンペーンも非常に効果がありまして、11月、12月、それから、正直言って年末年始の予約も含めて鳥取県内は絶好調でした。場合によっては対前年を上回るぐらいございまして非常によかっただけに、今残念がっておられることもあるのですが、ただ、そこで多少取り戻したところがあって、それで何とか今は食いつないでいるというのが本音だと思います。ただ、これが長引きますと非常に厄介なことになりますので、まずは需要喚起策も含めて当面できることはやっていく。  それで、あとはトレンドを見ながら今後を考えることだと思うのです。今回このコロナ禍で我々もびっくりしたのは、例えばシルバーウイークで、ドライブナビという検索サイトがありますが、そこで鳥取砂丘の検索数が前年42位から2位まで大躍進したと。昨年、年間を通じても鳥取砂丘は5位です。東京ディズニーランドを抜きました。─────と言うとまた叱られますけれども。そういうように、やはり自然なのです。こちらのほうにトレンドが来ているというのは、やはりあると。それは、来られる方が、あそこは何か安心だし、やはり景色もいいし行ってみようと。これは大山だとかいろんな観光地も含めて、同じような状況というのはあると思うのです。実はOTAの関連のトリップ関係のところがございまして、そういうところが来年度のトレンドを調べたのです。そうしたら6割の人が、自然が豊かなところに行ってみたいというふうに言っています。現実にもキャンプブームがございまして、県内でも、例えば一向平のキャンプ場などは空前の入りになってきているということであります。  こんなようなことで、やはりトレンドが変わってきて、自然の豊かなところでじっくりのんびり行きたいという人たちが増えてきているわけです。だから、これに対応するような旅を提供する必要があるだろうと。アウトドアツーリズムというのを新年度予算の中にも入れさせていただいていますが、そうした促進策を取っていければと思いますし、その一つのテーマになるのはサイクルツーリズムだと思います。これにつきましては先月、サイクルツーリズム推進協議会を結成をしまして、そうしたことの便宜を、県を挙げて関係業者と一緒にやっていこうというスタートを切らせていただきました。また、2泊3日での受皿をつくる必要があるだろうと。今はせいぜい1泊して帰るとか日帰りというのが多いですけれども、少しゆっくりしてもらえるきっかけとして、2泊3日ぐらいの旅をつくれないか。これを新年度予算としても今入れさせていただいています。例えばみたき園だとか、それから石谷家住宅だとか、それから若桜の氷ノ山の辺りとか大江ノ郷やらを回りながら2泊してもらうような、そういう旅の形というのを商品化して提案していくということが必要だと思います。  また、ワーケーションというような、観光と仕事のあいのこみたいな、その中間みたいな形、こういうものもやるわけでございますが、こんなようなこともやはり発信してはどうかと。昨日もオンライン形式で中国ブロック等の観光のプロモーションがあったのですけれども、その中で本県からもワーケーションというものをアピールさせていただいたところでもあります。こんなような新しいトレンドを引き込むような、そういう旅づくりというのがあっていいのではないか、サブスクと呼ばれるものもそういうものだというふうに思います。  次に、少子化や人口減少対策、こういうものについて抱える課題、我が国の国策の是非や歴史、その辺はどうかと、こういうことでございます。  我が国、戦後はベビーブームから始まりました。それから1970年代に第2次ベビーブームがありました。こういうものに対処するかのごとく、本来は、多分国策としての子育て対策をはじめとした一連の施策がもともとはあったのだろうというふうに思います。ところが、だんだんトレンドが変わってくるのです。例えば1965年頃が境だと言われていますが、お見合いがそれまで主流だったのですけれども、お見合いと恋愛がひっくり返りました。それが大体その頃でありまして、その後、第2次ベビーブーマーが出てくるということであります。  1975年ぐらいになりますと、核家族が6割ぐらい、半分を超えてくるのです。家族の形が変わってきている。こういう核家族化が進むのと併せて、やはり少子化が進み始めるわけです。たくさん子育てをすることを、言わばある意味経済的リスクと捉えたり、それから、多くの家族がいる中でもまれながら育つ、そういうところから少し時代が変わってくるわけです。そういうようなことで、これは先進諸国はどこもそうですけれども、少子化傾向に入っていくということになりました。  それが平成2年に、1.57ショックと言われますが、合計特殊出生率がここまで減ったのかというようなことになりまして、それでその後、エンゼルプランという子育て政策を政府、厚生労働省のほうで打ち出すわけです。ただ、このエンゼルプランは、やはりそれまでの国の伝統的な政策の延長のようなところがありまして、中心は保育所対策なのです。要はベビーブームが2回やってきて、やはり保育所の問題というところがあり、それから厚生省の行政自体もそれを要にしてつくってあるところがあるわけです。決して少子化対策ではなかったのです。少子化対策になかなかちょっと国として踏み込まない、それは財政的な効果が得られないのではないかと、こういうような根強い財政当局の考え方もあって進まなかったところでありました。  そういう中、鳥取県は子育て王国ということを標榜し、少子化を何とかしようと。本県も平成20年には合計特殊出生率が1.43まで下がってきました。実はじわじわと下がってきていたのです。人口は60万人も切りましたし、このままほっておくと大変なことになると。それで、タブーだった少子化対策に乗り出すわけです。それで、様々な政策を打っていくのと併せまして、仲間を募ろうと、実は子育て同盟という知事の同盟をつくって、国のほうにそうした子育て施策、少子化対策を本気でやりましょうということを進めるようになりました。これが平成24~25年ぐらいの動きでございまして、そういう中、国も少子化対策の基金をつくったり、動き始めることになります。ここに来て、ようやく菅政権で、例えば不妊治療の助成制度、これを引き上げていこうと、いずれは保険化しようというふうに動いてきたのは歓迎すべきことでありまして、ちょっと前には考えられなかったぐらいであります。ですから、ようやく今、少子化対策に政府としても取組が強まってきたところであり、本県としても、今まで例えば少人数学級を小中全学年でやるとか、それから高校生まで医療費助成をやるとか、この議場でいろいろと議論をしてやり取りをした中で、本県独自に全国最先端まで引き上げていきました。中山間地の保育料無料化というのもそうでありましたし、第3子以降の無料化ということもやったり、それから最近では、昨年度、一歩先を行く子育て行政をやろうと。これは若桜のお母さんたちが結構最初におっしゃったのから始まりましたけれども、高校生の通学費助成であるとか、それからまた、産後ケアの無料化であるとか、それから不妊治療につきましても検査費を無料化する等々を始めてきたところであります。  こうやって今、年々積み重ねてきていまして、一定の効果は出ているのではないかと思いますが、正直まだ十分とも言えないところもありまして、これを深化させていかなければならないのではないかと思います。例えば出会いの場とか、そうしたことなどは、これは全国でも認知されてきたのはここ10年ぐらいではないかと思います。まだまだ進んでいかなければいけない政策分野ではないかというふうに思います。  次に、健康長寿につきましてお尋ねがございました。健康寿命延伸に向けた動きを全県に展開すべきではないだろうか、それからアドバンス・ケア・プランニング、これについて取組を強化すべきではないかと、こういうお話がございました。  健康寿命の延伸に向けた健康づくりについては、度重ねて議員のほうからお話を議場でもいただき、その都度、制度の見直しや新設を含めてやってきまして、智頭でも今5件ほどは採用してやっていただきました。特徴的なことも、例えば坂原であるとか、それから那岐であるとか山形とか、いろいろと特徴的な、例えば体操を生かしてやるとか、きめの細かい対策を取られています。やはり地域でそういうのを熱心にやられる町職員出身の方がおられたりだとかいうこともありまして、全町で大分広がってきているように思います。非常にいいことだと思いますし、これによりまして現実にも要介護認定率が下がってきましたし、全県的にも、そうした介護関係での3位以内に大分入ってくるようになってきました。琴浦町も同じような事業を採用していただきましたが、こちらも要介護認定率で全県では一番いい状態であります。あと、いいのは北栄町ですが、これはもともとやっているところですね。やはりこうした健康づくりの取組、体を動かすちょっとした体操習慣等が重要だと思います。  新年度に向けましても、これをさらに強化していこうという予算を計上させていただいていますし、特に新型コロナでなかなか外に出られないという中でありまして、この間、そうした体を動かすビデオを動画で配信する事業をやったり、また、浦上先生という認知症予防のプログラムをつくってくださった先生がいらっしゃいますが、鳥取大学とも連携をしながら、新年度、例えばアプリを作って、それでこうした認知症予防プログラム、この中には運動習慣のものもあります。それから頭を働かす、そうしたことなどにも対応できるような、そういう言わばシステムサポートをつくってみようかと。こんなようなことにも取り組もうとしているところであります。  鳥取県の場合、特徴的なのは、健康系マイレージというのが非常に普及し始めています。これは生かせるところだと思います。また、地域ごとに、まちの保健室、これを看護大学など関係機関と連携しながら進めてきました。この辺もやはり鳥取県独自のもので、広がりが出てきています。議員のほうから御提案いただいた健康づくりの様々な事業と併せて、こういうものを進めていけないだろうかというふうに考えているところでございます。  そういう中で、アドバンス・ケア・プランニングというお話がございました。これはちょっとややこしい話なのですが、要は、御家族や医療関係者や介護の関係者などと、自分がみとりの段階になったときにはどういうことをしてほしいのかなどを前もって話し合っておくと。こういうようなことを進めようということで、厚労省は人生会議というふうに呼んでいるのですが、そういう、今世界中で一つのトレンドとして起こっていることであります。  もともとは、1976年に自然死問題ということで裁判がアメリカでありまして、これが非常に有名になりまして、それでカリフォルニア州が自然死法というのをつくるわけです。リビングウィル、生きているときに自分はどうしてもらいたいかということを残すというか、伝えるというものなのですが、ただ、これがその後問題に行くのです。1980年代に、結局、本人がコミュニケーションが取れなくなるとどうしようもなくなるものですから、アドバンスディレクティブという、前もって代理人をつくって、その方にそれを教えておくというようなことを始めるわけであります。ただ、これがその後1990年代ぐらいになってきますと、またこれもやはり問題があると。どうしても、例えば御家族がその代理人のような形で、ではみとりが近くなったときはこうしてくださいということでありますけれども、ただ、最後の終末医療をどうするかとかは、結構御本人の意思とはまた別に、御家族はできるだけのことをやってくださいとかいうこともあるわけですが、それが御本人の意思と必ずしも沿わない。こういう難しい微妙な問題がクローズアップされるようになってきました。それでアドバンス・ケア・プランニングという、御家族だとか医療関係者とか介護関係者とそういう思いを共有しておくということを始めようということであります。  これの考え方をある程度持ちながら、今、実は東・中・西の医師会と連携をしまして、こうした取組が進んできています。例えば東部の医師会のほうでは、終活ノートみたいな形で「わたしの心づもり」という冊子を作っていただきまして、これは県と連携しながらやっている。西部も同じようなことをされています。だから、そうしたときにはこうしてほしいということをここに書き留めておくと。それを参考にしながら、御本人の尊厳ある御意思だということで、それに従ってやっていこうと、こんなようなことなどがこれに入っているということであります。ぜひこうした取組を今後強化していく必要があると思います。医師会だとか関係団体と展開を進めてまいりたいと思います。  最後に、2050年ゼロカーボン社会の実現につきましてお尋ねがございました。グリーン成長の考え方、それに向けた取組はいかがなのかと、こういうことであります。  実は12月に、こういうグリーン社会に向けた閣議決定、計画がつくられました。それに先立ちまして総理のほうは、2050年カーボンゼロ、二酸化炭素排出ゼロを宣言されたわけであります。それに向けてこの計画の中で2兆円に及ぶ基金をつくって、技術開発等を支援していこうとか、それから住宅などの省エネ化等を進めていくとか、それから自然エネルギーの活用だとか、そうした様々なテーマにつきまして年末に取りまとめをしたところであります。  そういうことを背景にしまして、今週の火曜日、3月2日に地球温暖化対策推進法の改正法案が国会のほうへ提出をされるということになりました。この中に、2050年二酸化炭素排出ゼロ、これが明記をされているところでございます。それから、こうしたことに併せて、例えば脱炭素化を進める、そういう再生可能エネルギーにチャレンジしようという地域では、その推進計画をつくって、これをつくった場合には、環境アセスだとか、例えば保安林の関係とか、そうしたことの規制緩和を図る、あるいはワンストップ化を図ると、こういうようなことが法律の中で定められることになりました。また、企業の支援策などもございます。こんなようなことなどが、今回、国会のほうで議論をされるという運びになったところでございます。  本県におきましても、この新しい法案との関係でいえば、再生可能エネルギーの目標をつくれというのがあります。本県は、実は昨年度、環境イニシアティブの計画をつくりました。これに地球温暖化対策の計画を併せて我々は制定をしております。その中で、2030年に再生可能エネルギー60%という目標をつくらせていただきました。国は、実は2030年は22から24%でありまして、実はかなり意欲的な計画を定めています。ですから、国が今度これを義務づけることになりましたけれども、私どもは既にその前に言っていると御理解をいただければいいのではないかと思います。  どんなような取組があるかというと、一つは、この目標60%ということに向けて、我々としても再生可能エネルギーを育てていく必要があるだろうと。具体的には、今、バイオマス発電が県西部のほうで大きなのが2つ動き始めたりしています。バイオマス発電は結構発電量が高いので、こういう意味では貢献してくださるものになるかなというふうに思います。他方で、風力発電などはいろんな疑問が呈されるようにもなってきていますから、我々としては慎重に手続に向き合っていくということになろうかなと思いますが、そういうものを除いても60%は達成可能なレベルに入るというふうに我々としては見ているところでありまして、着実に推進を図ってまいりたいと思います。  先ほど政府のほうでも入った、例えば省エネ住宅のようなものですね。これに向けては、我々もNE-STという新しい住宅基準をつくらせていただきました。このNE-STについては補助制度をスタートしたのですが、既に60件以上手が挙がっていまして、正直、この手のものでは好調だと思います。先回はその中でもレベルの高い住宅の実地の見学会をやりましたけれども、専門家の業者の方々も結構お見えになると、定員になってしまうというような形でありまして、業界のほうでも非常に熱が上がってきているところであります。  こういうような状況が、実は図らずも先月末の国の予算審議でも取り上げられました。それで質問戦に答えて赤羽国土交通大臣が、鳥取県のこのNE-STはモデル的な取組だと、こういうことをほかの地域にも横展開をしていく必要があるのではないか。特に業界のほうにも、実は省エネ住宅は売り込みが大変でして、業界が食いついてこないわけですね。本県の場合はそういう意味で業界とタイアップをしながら補助制度もつくって、現実にもそうやって申請が上がってきていることになっていると。これは非常に珍しいことなのだそうです。ですから、こういう業界との言わばかみ合わせもできているところで評価していただく御答弁がありました。鳥取県としても、例えばこういうことを進めていく必要があるのかなと。  あとは家庭の中ですね。家庭の中でも環境家計簿であるとか、それから電気代だとかガス代だとかを見ながらモニターしていただく、そういうモニタリングであるとか、こういうのは本県としても独自の取組を新年度、それぞれの家庭に呼びかけてやってもらう予算を今提出させていただきました。やはり家庭でのCO2というのも結構ありますし、そのうちの6割ぐらいはエネルギー関係でございますので、そういう意味では結構大きなファクターになると思います。そういうところに例えば切り込んでいく。  それから、事業者用との関係でいえば「再エネ100宣言 RE Action」の企業、これも県内に今3社ございますけれども、本県もアンバサダーとしてそのお披露目をさせていただいているのです。これも実は環境省のほうからは、鳥取県のほうでいろんなセミナーをやっていることについても御評価をいただけるようになりました。現実にもこういうRE100のキーは増えてきていますので、それで評価をしてくださっているのかなと思います。こういうことも展開をしていく必要があるのかなと。
     あともう一つ、本県の場合、重要なのは、森林のCO2吸収源対策だと思います。これも西川議員から度々御指示、御指導をいただきながら、間伐切り出しの問題だとか、かねていろいろと御議論をさせていただきましたし、皆伐再造林、こういうことなど、やはり本格化させていく時期に入ってきたのではないかなというふうに考えております。こういうものを組み合わせていきながら、本県としても、2050年排出ゼロというものを目指して進んでいきたいというふうに思います。 ◯議長(藤縄喜和君)27番西川議員 ◯27番(西川憲雄君)御答弁いただきました。  まず初めに、大変喜んでおります。というのは、知事の御答弁、大変詳しく活力あふれた、どこかにけんかを売るような言葉もございましたけれども、実はこのコロナで1年間、大変厳しい体調管理の中でやってこられまして、少し前までは大変お疲れではないかなと危惧しておりました。疲れは何もいいものはありません。短気になりますし、判断を誤ったりします。今日は大変はきはきした御答弁をいただきましたので、私ももう少し追及をさせていただきたいと思います。  まず初めに、財政運営についてでございます。  先ほど、国の支援の予算のほうはある程度評価したいと、ただ、将来的には見通しが厳しいので楽観視はできないというふうな知事の御答弁がありました。多分その裏づけは、国の借金がこのコロナ対策を含めて3月末では累計で1,212兆円の予想が立てられております。やはりこれだけの国債発行をしているのは、日本は異常な状態でございます。  そこで、少し視点を変えてちょっとお聞きしたいのは、近年、MMT、現代貨幣理論という、これはどこかの政党が利用しているそうですけれども、私はそれとは関係なしに、数年前からアメリカの女性の学者が提唱されておりましたけれども、ごく簡単に言えば、中央銀行は自国通貨建てで国債を直接引き受け、インフレ抑制していれば、限りなく国債を発行しても財政破綻は起きないというものです。つまり、日本政府がどれだけ借金をしても、日本銀行が一万円札をどんどん印刷することで市中にはお金が出回る一方、国家としては実際に借金をしたことにはならず、デフォルトは起きないし、将来に負担を回すこともないという詭弁のような錬金術のようなお話でございます。  これが正しいかどうか私は分かりませんが、知事は多くの知見を持っておられます。このMMT理論をどのように考えておられるのか、そして今、国が借金の返済のために借金をしている、先ほど言いました1,212兆円の国債発行、将来的にはこれがどのように影響してくるのか、知事の御所見を伺いたいと思います。  次に、コロナ対策ですけれども、多くを御答弁いただきました。また、一般質問で多分多くの議員が質問されますので、追及は割愛させていただきます。  次に、新しい観光業の可能性についてでございます。  これもある程度御答弁いただきました。その中で、私が知事の答弁の中でもう一つ前に進めてほしいと思うのが、サイクリングのツーリズムの件でございます。私は、観光というのは4つの要素があって、食事、気候、自然、そして文化が必要だというお話を聞きました。この前半の気候や食、自然、鳥取県は誇れるものが全てあります。ただ、この文化というキーワードにしますと、少し心もとない、弱い部分があるのかなと。そう思いまして、先ほど御答弁いただきましたサイクリングの聖地という文化を鳥取から発祥していってはどうかなと思います。  例えば皆生の旅館でも、ただ食事を出して宿泊をするのではなく、先ほど知事が述べられました2泊3日、宿泊の提供ではなしに、聖地にしたり、そういう愛好者の集まる拠点、意見交換の場、そういう意味合いで、宿泊提供ではない形が考えられないのかなと。特に県西部から出ておられます県議会議員の皆さんは、大きく期待しておられます。  まず、この2点について、知事の御答弁をいただきたいと思います。 ◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)西川県議から重ねてのお尋ねがございました。  まず、MMT、モダン・マネタリー・セオリーにつきましてお話がございましたが、この現代貨幣論については、これはステファニー・ケルトン教授が主張されている非常に先鋭的な議論だと思います。正直申し上げて、まず通説ではないということを御理解いただきたいと思いますし、現実にも、例えば、今国債をたくさん発行して、それに関わっているような日銀も、黒田総裁などもMMTは否定されているということでございます。ですから、決してこれに依拠する必要はないと思いますし、だから幾らでも国債を刷って大丈夫だよということではないと。これは世界の多くのところの共通理解だろうと思いますので、若干とんがった議論だろうというふうに私も見ているところであります。  そういう意味で、サマーズとかクルトンだとか、そういう主流派の経済学者はどちらかというと真っ向反対していまして、というのは、ハイパーインフレ論ですね、これはもう共通理解として、国債をたくさん発行しますと過去大変なことになったと。戦後直後の日本も経験しましたけれども、ああいうハイパーインフレ。最近も80年代終わりのアルゼンチンであるとか、このところもベネズエラだとか、いろんなところで起きているところでありまして、今、現に諸外国でも、アルゼンチンはインフレ率、物価上昇率がまだ50%以上あるというようなことでありますが、それが何十万倍という規模でも起こり得る、ハイパーインフレであります。これが起こり得るので、こうした国債の大増発はむしろ健全でないという見方が多いところであります。  では、日本でどうなっているかということですが、このMMTの中では、日本はそういう意味の成功例だみたいな言われ方をしているのです。日本では国債の発行をしているのですけれども、なぜかインフレにつながっていないどころか、昨シーズンでいうと物価上昇が0.5%でありますので、インフレどころかデフレぎりぎりのところなのです。なぜそうなるかというと、国債に対する信認が日本の場合は極端に高いのだろうと思いますし、それを保有している機関が限られていることがあると思います。一番の大どころは日本銀行が48%持っています。それから、生保、損保で21%持っていまして、各種銀行で15%持っています。これでほぼ全て持っているに近いわけですね。それが何か日本の金融の在り方のようなところがありますし、それを背景にしてお金を預けている人たちがいる。  それから、諸外国では危ないところは他国が結構持っているわけですね。もうこれは危ないとなったら、その持っている国債を売りに出すと。そうすると急に上がってくるということであります。ただ、やはり地合いとしては健全な状態でないので危ないですし、現に最近、長期金利が上がってきています。これはアメリカのほうの金融政策というか、財政政策ですね。新型コロナ対策をしっかりやるために大規模な財政投資をしようと、そういうことが影響しているところがあるのだと思いますが、そうしたことなどに引きずられた感もあるのですけれども、金利が急上昇してくるというのはちょっと危ない傾向であります。  ですから、今、銀行だとか生保、損保が離さずに持っていてくれますし、日銀は危なければ逆に離しませんので、48%も買って持っていてそれを持ち続けていれば、市場にそんなに悪さはしないわけですね。外国だと、外国人の機関投資家などが結構持っていますから、それが離すと急に債券相場が下落すると。金利が急上昇すると。こんなようなことになるわけでありまして、こういうようなことの危険性というのは、やはりあるだろうということです。  ただ、長期的にはどうかということでありますが、やはり税収のトレンドは、新年度いっぱいはよくないと思います。どれほど景気が戻るかということもありますけれども、経済が戻っても通常の年ほどにはなかなか行きづらいでありましょう。ですから、しばらくはそうした意味で国家財政自体も厳しいということになれば、地方財政政策も弱まってしまうかもしれない。新年度予算はたまたま地方財政対策をしっかりやろうというふうに国が動いてくれたのでよかったですが、ただ、自分のところも火事ぼうぼうになってしまったら、そこまで手が回るかということになりかねないところもあります。ですから、その辺の地合いの悪さというのは、やはり我々も警戒しなければいけないところだろうというふうに考えております。  サイクリストの聖地を目指すということでありますが、大賛成でありますし、この議場でもそういう御議論があり、我々もその方向で新年度も政策展開を進めようと考えております。こういうサイクリングを楽しむということで皆生温泉も変わるということでありますが、現実にも米子市の観光協会のほうでレンタサイクルをされて、白砂青松のサイクリングロードを走られる方々が使うわけでありますが、それが既に1,000台を超える利用になっておりまして、予想を上回る活用になっています。中には、私もお宿の人から伺いましたけれども、修学旅行で鳥取の高校生が皆生の宿に泊まって、それでサイクリングを楽しまれたということもあったそうです。こんなような形で様々な活用がなされ得るところだと思いますし、非常に観光素材としてもいいものになっていると。新年度に若干手入れをさせていただきますが、そうやって若干の補修をしながら観光素材としての価値を高めていきたいと思います。現実にも大手のJTBさんでは、オプショナル旅行商品として新年度にこれを売り出すということで話がまとまってきています。これを皮切りにしまして、いわゆる、うみなみロードと我々は呼んでいますが、そうしたところなど、様々なところに光が当たるようになればというふうに考えます。  あちこちを回るような観光としては、サイクルロゲイニングというのが今トレンドとして始まりかけていまして、しまなみ海道だとか、そのほかでも始められているところがありますが、例えば新年度はこういうのに挑戦してみようかとか、つまり、観光地を回りながらこのルートを楽しんでいただくと。それでポイントを稼ぐわけですね。これを競い合うような、そういう競技性のあるイベントでありますけれども、例えばそういうことをやってみるとか、それから、ダイジョウブシステムと呼んでいますが、サイクルカフェであるとか、そうしたちょっと休憩をするとか、あるいはおトイレであるとか、チューニング、少し直すとか、こういうことに対応できるような沿線の強化を図る。これは、先ほど申しましたサイクルツーリズム推進協議会のメンバーの皆さんなどと一緒に重点的に進めていけないだろうかということです。今、このダイジョウブシステムに200店舗ぐらい協力していただいていますが、やはり地域性がありまして、西部は結構増えてきていますけれども、東部、中部など、もっとそういうのがないといけないと思います。特にお宿ですね。お疲れがたまったところで泊まっていただいてというようなことが、特に長いコースになりますと必要になりますけれども、その辺の、言わばサイクリストに優しい宿と他県で呼んでいるようなものが、本県にはまだ十分できていないところがあります。これは新年度に認定制度をつくらせていただければと思いますし、それからナショナルサイクルルートに登録を目指して、その基盤づくりというものも進めてまいりたいと思います。 ◯議長(藤縄喜和君)27番西川議員 ◯27番(西川憲雄君)少しまた追及をさせていただきたいと思います。  財政についてですが、MMT理論、私も心配な部分はあると思いますが、現実的には日銀が営利団体でないのであれだけの国債を買っていても心配はないという、その安心感もあるのかなというのは思いますが、本来の姿ではないということは知事も御答弁されたとおりです。  私も今年度の予算を見て、知事の命と健康を守るその思いの強い予算で、これはコロナ対策に十分な効果が出るのだろうと思いますが、今まで予算を見させていただいて、平成27年から県の財政は相当厳しい体系を取っているのではないかなと。言い換えれば、ちょっと目いっぱいやり過ぎに私には見えるのです。今年度は仕方がないにしても、来年度以降、その辺も考慮されてはと、一言付け加えさせていただきます。  それと、人口減少の少子化対策です。知事が述べられたように、出会いの場とかいろんなことをこれからも取り組まれるというお話をいただきました。私も追及でそこら辺を入れておりますが、初めに答弁をいただきましたので、一つ、私の住む智頭町のお隣の奈義町、ここの取組を御紹介させていただきます。御存じの方もあるかもしれませんが、実は民放で何か全国版でやられたそうで、出生率が2.95。とんでもない数字で、1.9でなしに2.95。私は、お隣なものでお伺いしてきました。それで、なぜそのようなことになったのかという担当者のお話を聞いたときに、2近くあった出生率が、平成16年、17年に、1.41、1.43。知事が先ほど言われた1.57ショック、奈義町も同じショックを当時の町長が感じて、当時、合併論議のさなかだったのですけれども、合併どころでなしにこちらのほうが大変大きな問題だということで、15年間取り組んでこられたというお話でした。  端的に申します。奈義町の方が言われたのは、取組は鳥取県のほうが進んでいるのだと、勉強にも行かせていただきましたと。なぜ鳥取県が1.61で今止まっているか、奈義町が2.95か。そこに何の差があるのかというお話を聞いたときに担当者は、安心感ということを話されました。それで頂いた資料をちょっと読み上げますと、住むところがあって安心、子育ての負担が軽くなって安心、子育ての悩み相談ができる安心、町のみんなが子育てを応援してくれる安心、この4つの安心が大きな成果を生んだ要因だと。具体的にどういうことですかとお聞きしたら、先ほど私はあっせんの場が必要だと言いましたけれども、ゼロから1をするのも必要ですが、1から3のほうがやりやすい。どういう意味かといいますと、子供を1人つくられた方が、この安心感を持つことで、3名の子供さんを安心して育てる。その環境をつくることのほうが結果につながりやすいというお話をいただきました。ああ、そうだなと。結婚されない方が、幾ら努力して、してくださいと言っても、個人の判断です。これも一生懸命取り組むことも必要ですが、1人持たれた方が安心して3人産める環境をつくる、そちらが大きな成果ではなかったかなと。これは担当者が言われましたので、今後の参考にしていただきたいと思います。  健康寿命の延伸ですけれども、いろいろお聞きしました。それぞれ取り組んでいただいているのは理解しますが、もう1点、このコロナ禍で大変大きな影響が出ておりますのがフレイルという現象で、どちらかというと健康の間にある状態を言われるそうですけれども、その対策が必要ではないかということを少し御質問させていただきます。  そして、その対策をする上で効果的なのが、コロナ対策でワクチンの接種を行いますが、そのワクチン接種の間、一定期間、状態観察を行う期間があります。そこでこのフレイルの進行を説明したり対策を打ってはどうかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、ゼロカーボン社会に向けて、知事のほうからいろんなお考えをいただきました。初めに知事が御答弁の中で、このカーボン社会ではないのですけれども、鳥取県というのは、自然を敬う、あがなってはどうしようもないという考え方を持っているというお話をお聞きしました。このコロナの時代なのでテレビを見る機会が多かったのですが、一回、NHKの「COOL JAPAN」という番組の中で明治神宮のお話をされておりました。百数十年前、日本全国から若者が東京のど真ん中にあれだけの森を造ったと。その当時の森は、CO2の問題がどうかということはありますけれども、結果的にはこの脱炭素社会の先駆けだったのではないかなと思います。そして、その明治神宮の森を造られた若者は、全国から1,820名、自費で列車に乗って昼夜をかけて集まられたそうです。その中に鳥取県は161名参加されております。人口が全国の1%の鳥取県から、1割近い161名が自費で参加されております。私の住む智頭町からも5名が参加されております。そういう考えを持つ県民であります。2050年に向かって、ぜひとも力強く取り組んでいただきたいと思います。  最初のほうの御答弁をいただきまして、午前中の質問といたします。 ◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)西川県議から重ねてのお尋ねがございました。  まず、岡山県奈義町のお話がございまして、非常に興味深く伺わせていただきました。0人よりも1人、1人よりも3人、多分そちらのほうが取りかかりやすいのだろうと、確かにそうかなと思います。鳥取県も実は特徴がありまして、1.43から1.6台で全国の上位を争うようになりましたけれども、結局は第2子、第3子、第4子という多子世帯がやはり増えているのです。つまり、最初の1人を持つということよりも、実は数がある程度多い御家庭、こういうところが合計特殊出生率をかなり押し上げているというような状況があります。鳥取県は、例えば第3子以降の保育料無償化、これは全年齢でやっています。こういうのはやはり、まさにそうした意味での呼び水になったのかもしれません。やはり何らかの安心のメッセージがないといけない、生きにくさ、育てにくさということがあってはいけないのだと思います。  私も奈義のほうで伊原木岡山県知事と一緒に両県知事会議をやったりして、奈義のそういうお話などもいろいろと伺いまして、実際にその辺りの様子なども拝見させていただいて体験もさせていただいたのですが、那岐山をはじめとして山懐に抱かれながら、高原の風情がありまして、静かな、そういう心の癒やしが取れるところだと思います。奈義のやっていることで面白いなと思いましたのは、言わば職業あっせんをやるのです。若いお父さんお母さんが働きやすいように、そういうのを言わばワークシェアをするような形でみんなそれぞれにやったり、それに今度はもちろん保育所だとかそういうのがあると。実は、高校生までの医療費助成だとか政策はよく似ているのですけれども、ただ、確かに皆さん非常に明るい、楽しんでおられる。そういうところが非常に印象的でした。子育て世代の皆様に安心感を持っていただく、これがやはり重要なのだろうなというふうに思います。そういう意味で、鳥取県としてもぜひ参考にさせていただければと思います。  フレイル予防についてもお話がございました。最近はちょっと出にくい状況があって、特に4月、5月ぐらいは活動を停止した老人クラブさんなどもありました。それが新年度事業で、今ここで議論もあったので組んでいるのですが、例えばZoomのようなテレビ会議方式なども使って、老人クラブさんと連携をしてそういうのを広げていったり、また、そうした言わばICTのスキル、これを学ぶようなことを、そうした高齢者の方々向けにやっていくなども含めてどうかなと思います。老人クラブ連合会でも結構そういうテレビ会議方式で研修会をされたわけでありますが、評判がよかったようです。こうやると、むしろ出にくい人も出られるようになると。この辺にむしろフレイル予防のきっかけがあるかもしれません。コミュニケーションはフレイル予防で非常に大事でありまして、そういう意味で役に立ち得るし、そこに素材として動画だとか、先ほど申しました浦上先生と一緒になって、そうした配信できるものなどをつくっていけばいいのではないかと思います。浦上先生が共同で開発をされたタッチパネル方式のフレイル予防システムについては、今8つの市町村で採用されています。それ以外にも、例えば智頭町さんなどは公文式と一緒になりまして、そういうので言わば脳の活性化を図る、こういうプログラムとか森のミニデイ、これも5地区で6つ開設をされていて、智頭のところは全町を対象にしてということでありますが、そういうところなど、こういうフレイル予防につながるような特徴ある活動をされているわけでありまして、やはりこういうものを展開をしていくことが必要です。  まだコロナで出歩きにくくなる状況がまた出てくるかもしれませんし、実際に高齢者の方、不用意にいろんな人と接触するのはどうかという考え方が根強くございますので、そういう意味ではインターネットなども活用した、そういうフレイル予防対策というのも新年度の強化事業としてさせていただきたいというふうに思います。  ゼロカーボンのことでございますけれども、これも志高くやっていく必要があります。2月に入りまして、米子市、鳥取市、境港市、3市が連続してカーボンゼロの宣言をやりました。県内でも、鳥取県のような宣言をされるところが今急速に増えてきたところであります。  議員がおっしゃいましたように、鳥取県は、森づくりもそうでありますし、いろいろとこうした意味では感性があると思うのです。そこに様々なエネルギー関係の会社だとか、技術開発のことであるとか、それから住民運動的にされているところだとか、森林組合さんだとか、そうしたところで一つの県民運動として、このカーボンゼロに向けて行動を起こしていくことが大切だと思います。一つ一つのことというのは、大きなCO2という問題に対しては小さく見えるかもしれませんが、ただ、誰も何もやらなければ悪くなるばかりでありまして、やはりみんなが意識を持ってやっていく、新型コロナの予防対策と同じだと思います。そういう意味では、新しいプラットフォーム、そうした場をつくる必要があるのかなと思います。  今、そうした意味で、過去の例もお伺いをしながらお話もいただきましたので、例えば環境イニシアティブ県民会議といったような、そういう県民運動の協議体、行動体というものも新年度に結成してみてはどうかと思います。従来も同じようなことをいろいろとやってきていますけれども、やはり菅政権もこのカーボンゼロを明確にされましたし、2月19日にはG7が開かれて、そこでパリ協定への回帰、そしてこの地球温暖化対策に組み出すことを国際社会としても明確にされました。バイデン大統領はその前に大統領令にも署名をして、パリ協定の復帰ということを2月19日に発効させたわけであります。今世界が動き始めていますので、本県としてももう一度運動を立て直す意味で、そういう民間の皆さん、住民の皆さん、いろんな組織の方々が入った形でこういうゼロカーボン社会に向かっていくような、そういう行動体、組織体をつくってまいりたいと思います。 ◯議長(藤縄喜和君)暫時休憩いたします。  午後の本会議は、1時15分より再開いたします。        午後0時13分休憩    ────────────────        午後1時15分再開 ◯副議長(福田俊史君)再開いたします。  引き続き、代表質問を行っていただきます。  27番西川憲雄議員 ◯27番(西川憲雄君)(登壇)それでは、午前に引き続きまして質問を行いたいと思います。  将来の本県産業を担う人材確保、育成についてであります。  県では、今後の産業発展に向けて各分野における中長期的な計画等を策定し、取組を推進していますが、新型コロナウイルスの影響や産業を取り巻く情勢の変化を踏まえて、改定や見直しが行われているものであります。新たな経済成長戦略である鳥取県産業振興未来ビジョン、林業、木材産業の成長産業化等を目指すとっとり森林・林業振興ビジョンは今年度末の改定に向けて作業中、本県農業の目指すべき姿と目標を示す農業生産1千億円プランは目標年次の見直しが行われています。  しかし、これらの県内産業の目指すべき姿を実践するためには、現状よりも大きく前進させる必要があり、労働生産人口や後継者、担い手が不足をしている本県においては、やはり人の確保、育成が要になると考えます。国の経済財政諮問会議においても、新型コロナウイルス感染症で明らかとなった様々な課題に対処すべく、新しい社会を支える人、イノベーションへの投資を強化することが、令和3年度の経済財政運営の基本的な態度と位置づけられています。  コロナ禍により影響を受けた県内経済を立て直すためにも、将来の県内産業を担っていく人材の確保、育成により力を入れるべきであり、新たな経済成長戦略に位置づけることが必要と考えます。県経済産業の再生と持続的成長に向けて、どのような人材をどのように確保、育成されようとしているのか、知事の所見を伺います。あわせて、農業生産1千億円、木材素材生産量50万立米を実現するためには、従来からの課題である担い手不足の解消が大前提と考えますが、次代を担う人材をどのように確保、育成していくのか、知事及び教育長に所見をお伺いいたします。  次に、県内事業者の体力強化に向けた取組についてお伺いします。  県内事業者は中小零細が多く、従来から直面している国内産業構造の変化の影響や後継者問題などの課題に加え、コロナ禍の甚大な影響を受け、企業体力を減らしながらも何とか事業を継承していますが、非常に厳しい経営状況にあります。このような中で、財政の厳しい本県でできることは知恵を出すことであり、事業者のやる気を起こしていただくことではないでしょうか。例えば企業の体力強化といえば、これまでは建物や設備、土地などの有形資産への投資が中心でしたが、今日、企業の価値や将来性の評価は、有形資産から無形資産に変わっているということを認識すべきではないでしょうか。  無形資産とは、その企業のみが持つ特許等の知的財産、技能や知識などの人的資産、ブランドなどが上げられます。高度経済成長期には労働で富を得ることが当然でしたが、今はどうでしょう。働けば働いただけ収入が得られるという考え方は成り立たなくなっております。米国の主要IT企業4社のGAFAは、製造業のような有形資産を多くは持たず、大量のビッグデータなどの無形資産を形成し、莫大な収益を上げております。GAFAのような大企業に限らず、例えば東大阪のある零細企業は、AI技術に必要な繊細なものを作る技術、これにより、大企業にも負けない付加価値を生み出す企業として評価されております。また、以前は鳥取県倉吉にもありましたが、紡績、そういう会社が全国にいろいろありました。今そのような会社が紡績をつくっていないからなくなったかといえば、そうではなく、日本有数の会社に変貌しております。それは土地や機械を持ったのではなく、糸を紡ぐ、細い糸を作る、そういう技術の裏づけによって新しい産業へと変化されております。  企業が求める優秀な産業人材を輩出する専門学校や産業人材育成機関は、地域共通の無形資産と言えると思います。県内事業者がこうした無形資産を保有、活用できれば、体力のある事業者が増え、県内経済の持続的発展が可能になるのではないでしょうか。ただし、県内事業者が自社のみで無形資産を形成するのは困難であり、県や産業支援機関をはじめとした産学官金が一体となった環境づくりが必要だと思います。生産性を上げるためのIT技術の活用、業務効率化を図りながら、ブランディングやマーケティングに係る情報提供、研究開発への支援、人材育成への支援や育成する場の提供など、無形資産を生み出す環境づくりや支援を一緒になって考えることが県内企業の体力強化につながると思いますが、知事の御所見を伺います。  次に、県内農林水産資源の有効活用についてであります。  農業資源の活用についてお伺いします。  農業は天候と耕地の状況に大きく左右され、県内でも東部と西部では状況が大きく変わります。私が住む東部、因幡ですけれども、因幡についてお話しすると、平安時代の文献によれば、因幡というのは刈り稲の集まる場所という意味だそうです。つまり、稲作に適したところということでしょう。実際、稲作は連作障害もなく、1粒の稲穂に150から200の実をつけ、耕地の狭い日本には最適の作物と言えます。  しかしながら、現在、コロナ禍の影響等により米作りが危機的な状況にあります。令和2年度の主食用米は、従来の人口減少等による需要減少に加え、コロナ禍の影響等により外食等での消費が落ち込み、深刻な在庫の過剰に直面しています。このため令和3年度に向けては、全国で過去最大の6.7万ヘクタール、平年作ベースの生産量で36万トンもの作付転作が必要な状況にあり、これが実現できなければ需給のバランスが崩れ、米価が大きく下落することが懸念されます。こうした状況を受け、国は第3次補正予算及び新年度予算において、麦、大豆、飼料用米などの生産、加工・業務用野菜等の高収入作物への転換、団地化や機械化などへの支援、3,400億円に及ぶ大規模な予算を計上し、令和3年度産の水田フル活用に必要な施策を用意しております。  ついては、米価の安定と水田の有効活用に向けて、これらの国の支援策を最大限活用し、関係者が一丸となって主食用米からの転換を進めていくべきと考えますが、この危機的状況の中でいかに水田農業の所得向上を図るか、知事の御所見を伺います。  次に、林業支援についてお伺いします。  まず、日本の森林の現状を紹介しますと、国土の約7割が山林であり、52億立米の森林蓄積があり、さらに年間7,000万立米が成長しています。これらを踏まえて質問いたします。  鳥取県では昨年、31万立米の木材が搬出されました。県の支援もあり、年々増加しています。しかし、年間70万立米とも言われる本県の成長量から考えれば、まだまだ搬出を増やすことで資源の有効活用ができます。しかし、植林された山の山頂付近の大部分は手つかずというのが現状です。その原因として、山頂付近は林道が整備されておらず、搬出コストを考えれば採算性に乏しいということだろうと考えます。また近年、皆伐再造林が叫ばれるようになりましたが、皆伐してコスト削減ができても、再造林が前提では二の足を踏む業者がいるのも現実です。  ここで、最初に紹介した現状を思い出していただきたいと思います。全国の国産材の木材需要は年々増加し、令和元年は年間3,000万立米です。成長量7,000万立米とは大きく乖離しており、木材自給率が37.8%の現状を考えても、成長量には到底届きません。つまり、植林が多過ぎたのではないかと考えることもできます。戦後の復興から高度経済成長期にかけて、拡大造林により、成長の早い、需要が見込まれた杉やヒノキが大量に植林されましたが、その後の木材の輸入自由化により林業が衰退したため、人工林の多くは管理されないまま放置されました。これらの現状と再造林を考えたとき、採算の取れないところは森林の多面的機能を考慮し、杉、ヒノキを植えず、もともと自生していた広葉樹に戻すなど、自然に戻すこともあってもいいのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。  次に、国土強靱化のさらなる推進についてお伺いします。  近年、全国各地で大規模な地震、水害、雪害などが頻発し、多くの貴い人命が犠牲となり、国民の財産や社会資本も失われ続けています。本県でも過去、西部地震や中部地震、平成30年7月の西日本豪雨、そして昨年の9月豪雨など多くの災害に見舞われ、その都度、復旧、復興を繰り返してきました。  県民の生命と財産、安全を守り抜くのは、政治の最も大きな役割の一つです。県では平成28年3月に鳥取県国土強靱化地域計画を策定し、以後5年間にわたって、国の国土強靱化3か年緊急予算等を活用しながら取組を進めてまいりました。この計画は今年度が最終年度に当たることから、新たに来年度から5年間の施策の方向性を明らかにする第2期計画を検討中であり、今月末までに正式策定、公表予定と伺っております。第2期計画には、これまでになかった新たな視点として、持続可能で強靱な県土づくりによるSDGs推進、災害時における新型コロナウイルス感染症への対応、Society5.0社会の技術の活用と国土強靱化のイノベーションの3つを設定するとのことですが、今後5年間の羅針盤となる新たな計画について、過去の災害やコロナ禍の教訓を踏まえながら、県民、事業者、市町村などの多様な主体にどのようなメッセージを込め、共に取組を進めていこうとするのか、知事の所見を伺います。  次に、公共施設の在り方についてお伺いします。  国土強靱化の推進や鳥取県らしい地方創生の実現に向けて、その基盤となる土木インフラの整備について、財政状況を勘案しながら計画的に進捗させる必要がありますが、一方、一度つくったインフラは、安心して活用できるよう適切に維持、管理していくことが求められます。また、県が保有する公共建築物についても、県営住宅や学校施設、わかとり国体や夢みなと博覧会など大規模イベントに向けて整備された観光・文化・体育施設や都市公園施設等々、高度成長期以降に順次整備されたものが多く、これからの10数年間にわたり、一斉に経年劣化や耐震性確保のため改修や更新を検討すべき時期に直面しています。  この点について、平成28年に策定された鳥取県公共施設等総合管理計画では、2015年から40年間に必要な公共施設の改修・更新費用として、合計1兆1,443億円、年平均で約286億円の予算が必要と試算されております。一方で、この2月には本県の推計人口が55万人目前となり、今後さらなる人口減少が進む中、将来にわたって多額の財政負担が懸念されることから、土木インフラについては、持続可能なメンテナンスサイクルの構築、財政負担の標準化、適正な維持管理が必要となります。同様に公共建物についても、施設保有総量の適正化を検討するほか、県、市町村、民間で効率的な運用を図るといった工夫、さらには計画的な点検、メンテナンス、小規模修繕等を行うことで劣化、老朽化を安上がりに遅らせる維持管理、長寿命化に努めることが必要であると考えます。  今定例会には、道路、河川等の各種インフラ整備事業はもとより、西部総合事務所の新築整備や米子市東山公園を候補地とする県、市の新体育館整備、さらには県立美術館建築着手に向けた事業費など、来年度に向けた予算案が上程されております。私は、必要な土木インフラ、公共建築物は計画的に整備されなければならないと思っていますが、同時に、子や孫の世代が背負うことになる将来の財政負担にも思いを致すところであります。国土強靱化の推進や公共建築物のビッグプロジェクトが動き出す今、改めて本県の公共施設の整備や維持管理の在り方、将来負担の見通しについてどのように認識しておられるのか、知事の所見を伺います。  次に、教育行政の諸課題について教育長にお伺いします。  将来に向けた生きる力を育む教育についてであります。  冒頭でも申しましたが、県民の幸せな暮らし、住民福祉の実現のためには、やはり人材育成が必要であり、日々の生活にある地域の課題を見つけ、解決していく能力を持った人材を育てていくことが必要と考えます。ただ、時代の流れが急速に変化する現在、教育の場では、デジタル社会といって子供たち一人一人に1台ずつ端末を持たせて、また、国際化だといって小学校から英語教育を始めるなど、もちろん必要に応じて臨機に取組を進めることも大事ですが、もっと根本的で本質的な部分、それがなおざりになっていないだろうかと私は懸念するところであります。  司馬遼太郎は、著書「この国のかたち」で、たくましい人になることを求めております。また、堺屋太一は、今日の日本は低欲社会、特に若者に意欲や欲望がないと嘆いておられました。現在の学校教育というシステムは、思春期の好奇心は無限の可能性を秘めているのに、挑戦することよりも現実という障壁だけを見せているのではないか。私は、子供たちには、この世の中はどんなことでもチャレンジすることができる社会だということを感じてもらいたいし、失敗を恐れず何度でもチャレンジできる環境、風土をつくるのが大人の責任ではないかと思っております。また、その上で何度もチャレンジして成功や失敗を繰り返し、それでも人生はままならないもので、責任を人に転嫁しない、あるいは自分の人生は自分の力で生きていくということを教え諭すことも必要ではないかと考えます。  学習指導要領に生きる力という言葉が記されて12年がたちました。教育長は、教育職ではない行政職出身の立場で本県の教育行政を担ってこられました。生きる力を育むという教育、人材育成の本質に対して、これまでの教育行政を振り返り、どのように総括し評価しておられるのか、所見をお伺いいたします。  次に、地域社会を支える人材を育てる社会教育について。  本県では子育て王国を標榜していることもあり、高校卒業までの学校教育や子育て支援については、手厚くしっかり取り組まれていると思います。また、成人後、おおむね30歳前後以降の子育て世代に対し、保育や教育の充実、高齢者世帯を含めた医療、介護などの福祉施策についても真摯に対応されていると思います。そうした中で、必ずしも年齢で区切った話ではございませんが、高卒後、18歳から30歳前後までの若い世代の県民において、ある意味、行政に対する明確なニーズがあまりないせいか、行政との関わりや地域社会との関わりが希薄で、そうした若い世代が鳥取県で、あるいはそれぞれ県内の地域社会で暮らすことについて、意味や意思を抱いたり感じたりするような場面がないのではないかと懸念しております。  私が若い頃は、消防団、青年団、婦人会など地域での何らかのつながりや役割があり、帰属意識を持ちながら、地域のために自分ができることは何か関心を持って考える機会がありました。地元や近所の方々に対する奉仕の精神や、自助、互助を学ぶとってもよい機会だったと思います。そして、そのコーディネート役が社会教育主事でありました。  人口減少、少子化の時代背景から、今、若い世代の地域コミュニティーとも言うべき消防団や青年団などの地域活動が停滞化し、あるいは活動の継続が難しくなっているように感じております。しかしながら、そういう状況にあるからこそ、地域の指導者たり得る社会教育主事に活躍していただき、地域の若い世代のつなぎ役として、コーディネート力、プロデュース力を発揮してもらいたいと思います。現在の社会教育団体の状況、そして社会教育主事の役割についてどのように認識しておられるのか。基本的には基礎自治体が取り組むべき課題ではありますが、県全体の問題として教育長の所見をお伺いいたします。  次に、鳥取県の歴史教育の充実についてお伺いします。  ふるさとというのは、自分が生まれ育ったところであり、昔のように生活の拠点を移すことが少ない時代においては、そもそもふるさとの価値観を論じる必要はなかったのではないかと思います。社会がグローバル化し、ふるさとから離れて暮らすことも選択肢の一つとなった現代社会において、ふるさとは自らのアイデンティティーを示す重要な要素として、心の礎、よりどころとも言えるものとなったのではないかと思います。そうであればこそ、やはり子供たちには、育ちの中でふるさとを愛する心を抱いてほしい、ふるさとへの愛着を起点として、自分を大事にする心を持った人間に育ってほしいと願うものであります。  本県においては、ふるさとキャリア教育として、子供たち一人一人の言わば来し方行く末を形に表すような、小・中・高等学校を通じた系統的な取組を推進しているところであります。まずは、このふるさとキャリア教育において、本県としてどのような教育、人材育成を目指そうと取り組んでおられるのか、これまでを総括して、どのように評価し、今後どのように展望されるのか、教育長の所見を伺います。  一方、そもそもふるさとに対して愛着を持つきっかけは、当地の歴史であり、歴史によって連綿とつながれた文化や伝統ではないかと思います。このふるさとキャリア教育の学びの中心は、どちらかといえば自分と地域との関わりであったり、鳥取県の歴史を学ぶ機会は必ずしも多くないのではないかと思います。  地元鳥取県に誇りを持って、子供たちが県外に出たときも自信を持って出身は鳥取ですと言える素地として、何より子供たちが鳥取県のことをよく知っている必要があるのではないかと思います。鳥取砂丘がどのようにできたのか、弥生期を示す青谷上寺地遺跡の出土品はどんなものがあるのか、戦国時代の信長、秀吉、家康や池田家と因幡、伯耆、伯耆も以前は母来と呼ばれておりました。因幡、伯耆がどのような関係性があったのか、江戸幕府の終えん期には、佐幕と攘夷に揺れた日本の動乱を象徴するような明治維新につながる因幡二十二士事件を知っている子供たちがどれだけいるのか。さらには、今のSDGsの考え方にも通じる社会的共通資本を提唱された本県出身の宇沢弘文先生をはじめとする歴史の人物を子供たちは学ぶ場面があるのか。  私は、ぜひ子供たちには鳥取県の歴史を学ぶ機会、環境を整えてもらいたいと思います。この問題は、4年前の代表質問でも教育長にお伺いしました。今日は、美術館建設でスペースが空く博物館のほうにぜひとも設置することを教育長のほうから発言していただければと思い、質問させていただいております。  次に、本県の治安情勢に対する現状認識等について、警察本部長にお伺いします。  近年の本県における刑法犯認知件数は、戦後最多を記録した平成15年を頂点として、翌年から令和元年まで16年連続で減少を続けております。また、交通事故発生件数も、平成17年から令和2年まで16年連続で減少。死者の数も年によって変動はあるものの、おおむね減少傾向にあると言えます。  このように、本県のいわゆる体感治安は全国でもトップレベルにあると言っても過言ではなく、その一翼を担う存在として、県民の安心・安全を守るため日夜勤務に邁進しておられる全ての警察官、警察職員の皆様に、心から敬意を表すものでございます。  一方、特殊詐欺やサイバー犯罪など、日々新たな手口が次々と出てくる犯罪、また社会的にも大きくクローズアップされている児童虐待やDV、それへの対応など、警察活動の多様化も一層進んでいるのが現状です。  さらに、本県では昨年7月、県内で初めて米子市が暴力団対策法に基づく警戒区域に設定されるなど、県民と県警察とが力を合わせた暴力団排除活動の強化も喫緊の課題となっております。  以上申し上げましたが、先月10日付で着任された服部新警察本部長に、本県の治安情勢をどのように認識しておられるのか、また警察庁や他府県での勤務経験等を踏まえ、本県警察が持つ課題をどのように捉え、その課題解決にどう取り組んでいくおつもりなのか、この議場で御披瀝いただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、刑法犯認知件数など本県の治安情勢を示す様々な指標が改善傾向にありますが、重要犯罪や窃盗犯罪はもとより、特殊詐欺やサイバー犯罪、児童虐待やストーカー、DV等への対応等も含め、これからも県民の安全・安心を守るとりでとして、県警察への期待はますます大きく、かつ多様化するものと考えます。  また、三密防止などの社会的要請もあり、この1年に及ぶコロナ禍は、警察活動にも大きな影響を及ぼしたと思います。
     鳥取県警察は、全国で最も人員が少ない都道府県警察であり、多様化、複雑化する各種犯罪に対応するためには、一人一人の専門性向上やレベルアップ、関係機関、県民との協働など、他府県以上に必要になると思いますが、コロナ禍による教訓も踏まえ、ポストコロナを見据えた今後の犯罪被害防止に向けてどのような方向性で取組を進めていくのか、警察本部長に所見を伺います。  また、加速度的な人口減少に伴うさらなる高齢化社会への進展が予想され、どのようにして県民の安心・安全を持続可能なものにしていくのか、多くの県民の関心事であります。今後のさらなる人口減少、高齢化時代を見据え、県警察においては警察活動の基盤となる体制の在り方についてどのように検討を進めておられるのか、あわせて、警察本部長の所見をお伺いし、壇上での質問とさせていただきます。 ◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)西川県議の代表質問にお答えを申し上げたいと思います。  まず、今の産業状況、県経済産業の再生や持続的な成長、さらには農業生産1,000億円に向けた動き、また木材素材生産50万立米に向けた動き、こうしたことに関連をして、どういうように次を担う人材というものを育てていくのか、あるいは確保していくのか、その辺の考え方を問うと、こういうようなお話であります。  いずれにも共通をしますのは、午前中も最初の質問でやはり西川県議がおっしゃっていましたけれども、人材の確保ということがございました。あそこに共通するものでございます。東京ディズニーランド─────というところはちょっと削除してもらえればと思うのですが、あれに象徴されるように、自然の豊かさの中、また人々の絆の中、それからストレスというものから一定程度開放され得る、そういう仕事の向き合い方、これが鳥取の多分大都市部とは違ったところで、その辺に憧れて例えば鳥取砂丘の検索が広がるだとか、あるいは鳥取のワーケーションや副業が注目をされるとかということになってきているのだと思います。ですから、こういうことをやはり取り込んでいくのは一つの人材確保の道筋であろうかと思いますし、またそれぞれの産業分野に応じた人材育成のシステムというものをうまくいったところはどんどん伸ばしていき、さらには足らざるところは補っていく、こういうことが必要なのではないかなと思います。  今、商工系等につきましては、産業振興未来ビジョンを策定中でございまして、このたびの常任委員会でも御報告を申し上げ、そのお話を基にして、これは明日からですかね、パブリックコメントを付することにいたしておりまして、今年度中に策定をしようというものでございます。  これには幾つかの特徴がありますが、一つは、今の新型コロナの状況からもう一度産業を再生していくという大きなテーマであります。それからあと、成長分野というものを見定める。そういう中には鳥取県の得意分野もあります。例えば食品加工業のような伝統的にたけているところ、あるいは自動車部品であるとか、そうした様々な産業分野それぞれに応じた促進策というものを図っていくと。これに対応するように技術革新を起こしたり、議員のお尋ねのように人材の確保や育成ということをやっていきましょうと、こういう横串を刺すような、そういう仕事を今しっかりと考えようというのが、今の産業振興未来ビジョンの考え方でございます。  そういう意味で、副業人材というのはやはり使えるのではないかなということで、それもこのビジョンの中に入れさせていただいているところでございますし、また新たな人材としては、このビジョンの中でも一つの重点テーマに入れていますが、デジタルトランスフォーメーション、あるいはSociety5.0、こうしたことに関わる分野等でございます。  この辺はやはりICTだとかプログラミング、そうしたものにたけた人たちが必要なわけです。例えば、ロボット化をして工場の省力化を図りましょうと、そういうシステムインテグレーターと言われるような方、こういう方を養成していこうと。これを県のほうでもロボット化のモデルラインをつくって、実証実験ができるようなところをつくったり、人材育成をできるようなところを開設をしたところでありますが、こんなようなことなどを展開をし、育成を図っていって、もっと付加価値の高い、そういうラインに変えていくということであります。  例えばこれは気高電機さんがございます。炊飯器などを作ったりして、あのメーカーでございますけれども、そういうところでもそういうシステムインテグレーターの話を入れて、それで例えば外観で検査をする、そういうパーツを自動化をしていくことなどに今回取り組まれているのですけれども、こんなようなことなど人材を開発し、育成をして、それをまた生産性の向上や新商品の開発などにつなげていこうというものであります。  こういうIoT関係というのは、デジタルトランスフォーメーションの中での人材育成としても十分必要なところで、高校とか高専、大学のレベルでもそうしたプログラムというものをつくっていこうと。これまでもそういうデジタル化対応をやってきましたが、国全体でも支援のシステムは変わってきますし、本県としても単独の事業も入れて、これも重点的に支えていこうと今考えているところであります。  農業のほうでいいますと、目標としては今1,000億円の生産をしていこうということでありますが、当面は900億円を目指そうというものです。先ほどの産業振興未来ビジョンも、その一番のテーマは2兆円の付加価値を生み出すGDPを目指して、令和6年までに1兆9,000億円をつくっていこうと。製造品出荷額も1兆円を目指し、その中で9,000億円を令和6年に目指していこうと、こんなようなことなのですが、農業のほうでは1,000億円を目指して、今900億円を当面のターゲットに置いているというものであります。  これに向けても、先ほどのような様々な人材マッチングを都会ともやっていくことが可能でありますし、本県は国よりも一歩先回りしてやっていました。具体的には、平成20年に言わば初任給程度、こういうものを保障をしまして、それで農業法人などで雇っていただくと。それで国よりもスパンを長くして、優遇していくということをやっていました。これが国のほうでも農の雇用支援事業として21年度から始まっているものでありますが、それを1年早く私どもは始めていたところです。その後、21年からアグリスタートということをやっていると。これは担い手育成機構が中心になりまして、そこで実地に農家とタイアップをして、そこで働いていただくというような、研修も含めまして人材の育成を図っていこうというものであります。  また、27年からはハローワークの仕組みを使って、国の関与する公共職業能力開発、こういうようなことの事業を援用させていただきまして、無料でそういう農業研修ができるようにしようと。これは割と中高年等々、転職をしてきた人などが活用されているところでございます。これも結構人材育成のロットが高まってきているところでございます。  こんなようなことなどを様々これまでも展開してきておりまして、ある意味うまくいっているところがあります。かつては年間の新規就農者は100人行かないのが当たり前で、本当に数えるほどだったのですけれども、今は130名余り、その前の年は160名余りで、かなり以前よりは水準が高くきているところでありますし、新型コロナでこうした道を志す方も出てこられると思います。そうした方々の受皿になってもいいのではないかなと思います。  例えば智頭でも古谷浩平さんという方がいらっしゃって、大阪から来られているわけであります。ブドウの栽培などを意欲的にされている方がいらっしゃいますが、これもこうしたアグリスタート事業などを活用されまして農業の世界に入ってこられた方であります。  また、農林水産業の関係では、スーパー農林水産業士など意欲的な若者を高校時代から育成していくということも重要なテーマになると思います。  林業のほうも大分ツールが整ってきたと思います。これにつきましては、31万立米の切り出しというところでありますけれども、この素材生産量を5年間で40万立米、10年間で50万立米にしようと。これは西川議員の昨年の、一昨年ですかね、6月議会だったと思いますが、そのときにお話があったことを、それをここで議論したものを今、関係者、大体整ってまいりまして、森林・林業振興ビジョンの中に今それを具体的数値目標として位置づけて、策定の最終段階に入ったところであります。  当然ながら担い手が増えたり、それから機械の導入などで生産性を高めていかなければなりません。先ほど御紹介申し上げましたように、智頭農林もこういう林業を目指す子が入ってくるとか、そういうのもないわけではありませんし、また日南のアカデミー、これも開設をされましたが、昨年度開設をされて、今期数を増やしていますけれども、次期に向けては募集定員10名のところを13名応募があるぐらい、かなり浸透してきていると思います。県内外、遠くからも入ってこられることでありまして、どうも魅力としては、もちろん就業されることを前提として費用負担がないということはあるのですけれども、そうした意味で林業で働こうとか関連の例えば製材工業だとかも含めて働こうという方々にとりましては、非常に魅力的なカリキュラムと映っているのではないかと思います。これが関係者の予想以上に反響があるということもいい材料かなと思いますし、それからグート・ホルツという県の林業試験場の研修もあります。これもこのたび予算の中で入れさせていただきましたが、雨天でも研修ができるような、そういうスペースを今さらに拡充しようということにさせていただいております。  こういうことなどを通じまして人材の育成を図っていければと思いますが、最近は林業はかっこいい職業というイメージが若者の中でじわじわと出てきているのですね。スーツなども今本県なども応援をしていますが、何かモビルスーツというか、かっこいいスーツを着て、それで機械を大型を導入して、何か本人たちのイメージではゲームセンター感覚で木をつり上げてみたり、ざっと枝打ちをしてみたり、そういうような感覚すら覚えるぐらい、以前とは大分違った労働環境になっていると。こういうようなことが若者の間にも割と魅力として映るようになってきて、こういうのを高めようということで新年度また伐木のチャンピオンシップを鳥取県内でやろうと考えております。関係者では今、北栄町で実行しよういう計画を練っておられまして、私どももそれを応援する予算を計上させていただきました。  次に、産業の生産性を上げるために無形資産、これを生み出す環境づくりや支援をやっていくべきではないかと、こういうお話でございました。  これはまさにそうでありまして、本県のように割と中小企業が主流のところで、どうしても大きな装置を入れて大規模な生産をして競争力を高めるというよりも、人材の力とか知的財産権の活用であるとか、それからブランド化などによりましてそうした活路を開いていく、いわゆるニッチ産業的でもいいのですが、それが雇用の場になればいいですし、十分に収益性のあるやり方というのはあるのだろうと思います。  例えばこのコロナ禍で様々なものが生まれていまして、私は今日マスクは星空のマスクをつけていますが、あれは中に不織布を入れている、そういう割といいマスクになっているわけでありますが、ここから近いさーびす呉服店さんが作っておられるものでありますが、ああいうマスクが今各地で製造されるようになりました。そういう中でも出色なのがトミサワでありまして、智頭町でもともと別の生産ラインを持っているわけでありますが、モチガセさんというかつてマスク製造を行った電機関係から転用された方ですけれども、そのノウハウというのを生かされて、顔にフィットするような、そして例えばこういう耳に留めるものなども含めて素材とかもちゃんとやって、それで極というブランドを立ち上げられたところ、これはアマゾンのインターネット通販で60万枚を売っているというのですね。ヒット商品になっています。非常に高いのですけれども、そういうようなことでしっかりと地域にあった経営資源、知的経営資源、マスクづくりというノウハウを産業として取り込んで、様態転換、新ビジネスへの挑戦を図っていると。こんなようなことが非常に我々としてはモデル的なケースだろうと思います。  例えばシャープ米子さんも、液晶が国際的には競争力を確保するのが正直大変になってきています。大阪の堺にあります大きなそういう液晶工場も、このたびシャープ本体は売却をするということを発表されたぐらい、非常に経営環境が変わってきているわけです。そういう中、シャープ米子さんは、どちらかというと中・小型の、中小の液晶を生産するラインを持っているわけです。ただ、これが非常に国際競争力としては厳しいところ。それでMEMSだとかいろんな形態に技術開発をして進んでいくわけです。そういう中でモスアイ技術というのを導入されると。それを開発されるわけでありますが、モスというのはガですね。ガの目のようなこういう、よく精彩に見ると、見えないですけれども、小さなぼこぼこが空いていると。それであるので曇らないとか、そういう特性があるわけですね。これをフェースシールドにつけようと。これに八頭郡内でのケイケイさんとタイアップをされてやったわけでありますが、これもやはり優れ物でありまして、売ればすぐに売り切れるぐらいということであります。  こういうような形でいわゆる無形資産と言われるようなものを活用していく、これが重要な戦略になってくるのだろうというふうに思います。  最近もクレコ・ラボさんが、智頭の山形小学校のところに進出をされました。もともとは東京のほうの都心の会社でありますけれども、興津さんが気に入られて、こちらのほうで研究だとかストローの生産をしようということであります。この辺もいわゆる地域資源を生かして、東京ではできないビジネスをやろうということであります。ぜひそうした観点で産業振興支援を図ってまいりたいと思います。  米価の安定、あるいは水田の有効活用に向けて、どういうように水田農業所得向上を図っていくのかと、こういうお話でございます。  新型コロナがもたらした大きな影響の一つは、米価の下落だと思います。残念ながら外食産業が傷つきましたし、それから観光などもそうであります。そういう中でお米の消費量が減ってしまうところで、おいしいお米を作っている鳥取県のようなところではその打撃もございますが、全国的に米価が下落傾向になってしまった。それで、国全体としては、来年度に向けましては30万トン減産しようということになりました。これは本県でも大体6万2,900トンぐらいから6万4,900トンぐらいのレンジに下げようということでありまして、従来にない100ヘクタールを上回るような、そういう生産調整をしなければいけない。170から五百数十ぐらい、かなり大きなことになるのではないかと思います。これをやはりほかの生産に向けようということで今現場で調整をしていまして、一つは飼料用米ないしは飼料用稲、特に飼料用米への転換、これが国のほうの一定の優遇措置もありますので、それを活用できないかということであります。これにつきましては、ただ以前は政府のほうでかなりのげたを履かせてもらっていたのですが、それがどうも望めないようでありまして、都道府県のほうで助成をする場合にはその2分の1を国が見るというような、そういう形の部分がついてきました。ですから、ちょっと割り切れないところもあるのですが、ただ、今農家の大変な状況ということもありますので、鳥取県としては全面的にこれは農家に協力していこうと、そういう予算を出させていただいております。  例えば鳥取畜産農協、とりちくさんなども東部コントラクター組合というのをやって、飼料用稲、飼料用米、そうした生産などをやってきたのですが、昨年経営統合して、子会社を吸収された形になりました。こういうとりちくさんのようなところが飼料用米等、あるいは飼料用稲を生産するということになります。こういうところをそうした補助制度で支援をしていくということになろうかと思います。  また、そのほかの作物への転換ということもあると思います。最近こういう田んぼからの転換ということであれば、中山をはじめやっておったブロッコリー、これが県の中部のほうにも広がってきて、これを本県としては全県的なブロッコリー生産流通の支援をしようというふうに整えさせていただき、新年度も継続の予算を出させていただいております。  ブロッコリーも一つだと思いますし、東部のほうではアスパラガスですね。例えば気高のみどり農産さん、こちらのほうもお米だけではなくて、そこに大豆とかブロッコリーだとかそういうものを入れていこうと。ブロッコリーにつきましては、JAいなばのほうでも平成27年頃からか、生産振興を進めておられまして、こういうものをまた我々としても支援をしていこうというようなものでございます。こんなようなことなどを進めて、転換を図って応援してまいりたいと思います。  再造林の植林等についてお話がありました。多分趣旨は奥地のことなのかなとも思いますが、人工林がなかなか大変なので、多面的機能ということで広葉樹化するというような手もあるのではないかというお話がありました。  議員がおっしゃるように、実は戦後、大きく日本の山は変わってしまったと思います。具体的に数字を上げれば、昭和30年には人工林2万ヘクタールであったものが、それが今は12万ヘクタールということに鳥取はなっているのですね。実に6倍になっているわけです。もともとは、慶長杉に象徴されますように、鳥取県でも杉の美林というものをもう江戸時代から造っているわけでありますが、戦後になりまして戦後復興ということもあり、林業の増産を進めようと、国が主導権を取ってどんどんそうした造林をさせたり、あるいは分収林のようなものを全国で徹底してやったわけです。鳥取県は割と真面目にそれをやってきたものですから、人工林がかなり増えてきているという状況であります。  ところが、人工林が増えるはいいのですけれども、ただ、それと同時に農林省は何をやったかというと、輸入の拡大を図ったわけですね。高度成長期に確かに材木の不足ということが心配されたのだと思うのですが、安い外材を大量に入れることを始めてしまったわけです。片方で山で人工林を植えさせながら片方で安い外材を大量に入れるということになって、価格の下落を招き、結局山の切り出しができなくなってしまったと。多分ここは林政の大失敗があったと思います。ただ、それも繰り言でしようがないですから、ではこれからどうするのかということでありますが、我々としては間伐の切り出し促進を図って、さらには最近は搬出間伐で収益化していこうということも進めてきました。さらには、皆伐再造林ということもこれからやって、もっと森の循環を高めていこうということも考えてきたわけであります。  そういう中で、広葉樹も見直せるのではないかということですね。特に手入れのことを考えますと、広葉樹も大変なところがありますけれども、切ったところで例えばクヌギを植えようと。クヌギを植えた場合に、切ってもそこからまた次が生えてくるわけです。杉とかヒノキとちょっと違うところがあります。ですから、そういう意味では長い目で見ると世話がかからないということがある。それから、クヌギであれば、15年、20年たてばほだ木に使えるわけですね。そういう意味で、最近鳥取県内でもいろいろとこうしたシイタケなど林産物を作られるところが増えてきていますし、最近は全国で見ても品質がよくて成績も優良であります。そうしたほだ木の栽培ということにもなるわけでありまして、必ずしも杉やヒノキでなくても、植えるものは広葉樹でもあるのではないかというような検討を今現場のほうとしているところであります。  例えば鳥取大学におられた山本福壽先生、今、智頭のほうでも塾長をされておりますけれども、そうしたお知恵もいただきながら、現実可能なそうした今後の林業の転換というものを進めていく必要があるだろうと考えております。  最後に、国土強靱化地域計画でありますとか、それから鳥取県の公共施設総合管理計画につきましてお尋ねがございました。  この国土強靱化計画でありますが、震災からもうすぐ10年、東日本大震災の余韻が今まだ残っているわけでありますが、平成25年にこうした日本の脆弱な国土構造というのはいかがなものかということで、リダンダンシーであるとか、それからそうした災害への体制を高めるという意味での国土強靱化の掛け声がかかりまして、法律もでき、本県でも国土強靱化の地域計画というのをつくらせていただきました。  これは今、改定時期に入ってきているわけでありまして、議員がおっしゃるように幾つか新しい視点を入れさせていただいております。1つはソフト関係で、コロナ禍でありますので避難のときのコロナ対策。これは、例えばそうした防御資材を会場のほうで用意をするだとかいろいろとございますが、そうしたことなどを新しい視点として入れたり、それからデジタルトランスフォーメーション、Society5.0という観点から、そうした意味で例えばタブレットだとかそういうものも活用し、ドローンなども使ったりしまして橋梁の維持補修などもやれるのではないかとか、そういう転換を図ろうというようなこと、さらにまたSDGs、これも本県としてもSDGsの取組を本格化させていただきましたが、このSDGsの中には自然災害といいますか、地球温暖化をにらんだこともターゲットとして入っていたり、それからいつまでも住み続けられるようなまちづくりというようなことも入っていたりしまして、そうしたSDGsの17のターゲットとの関連、このことも入れさせていただいております。こういうような意味で、メッセージ性のある国土強靱化の計画にしようということでやっているところであります。  これまでの国土強靱化計画に基づいて、ハードを中心に一定の成果は出てきたと思います。例えば学校の耐震化とか、それから病院ですね、重要な病院、これらについては100%耐震化ということができまして、目標を達成しております。あるいは、ため池の防災の重点ため池がありますが、それも目標を85としておりましたのが今はもう100を超えるハザードマップの作成に至っておりまして、これも目標を達成しております。だから、一定のものはできてきているのですが、ただ、片方で例えば消防団員の確保であるとか、ソフトを中心としてまだ達成の弱いところもあります。その辺はやはり次期計画の中でしっかりとフォローする必要があるだろうというふうに考えております。  例えば避難スイッチとか、そうした考え方、あるいは支え愛マップであるだとか、鳥取県としても独自のそういう対策もしっかり取って、これまで例えば平成30年の智頭の豪雨災害などもございましたが、ああしたものを乗り越えていけるような、そういう国土強靱化の地域計画の遂行にしていきたいと思います。  それで、メンテナンス等のほうでございますが、公共施設等総合管理計画、これを10年スパンでつくっていますが、それの中身として2つあって、1つはインフラのほうと、あともう一つは県有の施設のものであります。インフラのほうはおおむね130億円弱ぐらいを標準にしまして、毎年それをやっていきますと、要は予防的に直していくことで全体としての総合的な全体的な維持補修や再建築、再工事の費用を下げることができるというものでありまして、今これについては順調にさせていただいているところだろうと思います。例えば智頭の大内とか中原とか、あそこに古い橋がありますけれども、あれなどもコンクリート橋ですが、中に鉄筋が入っています。ひびが入ってきていますね。ひびが入ってきて、ここに水が入り込みますと、中の鉄筋が腐食をしてまうと結局これを全部やり替えなければいけないということになります。そうなる前にこれを止水するような、そういう止水剤を入れて、それで維持補修をすると。そうすると、鉄筋がやられる前にもたすことができると。つまり長寿命化ですね、そういうことができるということでありまして、現実にこの2つの橋は、この期間、この計画に基づいてやっております。こういうようなことを今後も盛り込んでいくということになろうかと思います。  また、県有施設につきましても、年平均で13億円減額をする。大体年間28億円ぐらいのペースということでさせていただいていますが、ちょっと計画をつくった後に変化がありましたのは、国のほうで公共施設の適正化の事業債ができまして、これが9割充当5割交付税措置という有利なものでありまして、若干前倒しぎみに今進めさせていただいております。できるだけ効率的にやろうということで、例えばこの近所にございますとりぎん文化会館のホールがありますけれども、あそこの天井とか舞台とか、通常でありますと順番にやっていくのですが、全部固めてやろうと。令和元年から昨年にかけまして、集中工事のような形でさせていただきました。これによりまして、実際に経費的にも7,000万円浮かせることができましたし、また8か月ほど工期短縮、つまり使えなくなる期間の短縮ができたということになりました。今後もいろいろと工夫をして、こういう長寿命化、維持管理対策というのを進めてまいりたいと思います。 ◯副議長(福田俊史君)先ほど平井知事からあった自らの発言に係る削除の申出につきましては、議長において後刻記録を精査の上、適切な措置を取ることといたします。  換気のため、暫時休憩いたします。  午後2時35分より再開いたします。        午後2時23分休憩    ────────────────        午後2時35分再開 ◯副議長(福田俊史君)再開いたします。  引き続き、27番西川憲雄議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。  山本教育長 ◯教育委員会教育長(山本仁志君)(登壇)西川議員の代表質問にお答えを申し上げます。  初めに、農業・林業の次代を担う人材育成につきましてお尋ねがございました。少子高齢化の中、今後の人材育成は、どの分野もそうでございますが、大きな課題になっているものと認識をいたしまして、一人一人の生徒をしっかり育てていく、そうしたことが求められているのではないかなというふうに思います。  高校では、農業では倉吉農業高等学校、そしてまた林業では智頭農林高等学校を中核といたしまして、鳥取湖陵高校であったり日野高校などでもこうした農業、林業の人材を育成してまいっております。そうした中には、関係団体などの御協力も得まして、インターンシップであったり、あるいは校内の農地、あるいは演習林等を利用した実習なども含めて人材育成に取り組んでいるところでございます。  特に最近では、農林水産部、あるいはJA、森林組合等の関係団体などとも連携をしまして、スーパー農林水産業士という制度を新たにつくっていただきまして、後継者の育成などにも努めており、成果も上がってきているところでございます。  また、倉吉農業高校におきましては、これからの農業ということも含めて、スマート農業といった新しいことにも取り組んできておりますし、また智頭農林高校でも、スマート林業について学ぶようなカリキュラムを検討してはどうかというようなことも、今検討を始めているところでございます。  そのようなことで、これは関係団体、あるいは知事部局などともしっかりと連携をしながら取り組んでいく必要があるかなというふうにも思っております。  さらに、高校の前段階の小中学生に対しても、こうした農業、林業などについて学ぶ機会をしっかり設けていく、そうしたことも大切ではないかというふうに思っております。JAと連携をしたあぐりキッズ体験であったり、あるいは食育の場を利用して生産者の方に来ていただいて、少し苦労している話だとか生産に対する思いだとか、そうした話を直接子供たちに話していただくような機会であったり、あるいは近隣の農業の方などに御協力をいただいて稲作の体験、あるいは梨の授粉であったり収穫の体験、そうしたことも含めた農業体験なども行ってきておりまして、そうしたことも含めて、これからも関係団体、あるいは農家、林家の方々の御協力も得ながら、こうした人材育成にしっかりと努めてまいりたいと考えております。  次に、司馬遼太郎の「この国のかたち」なども引用いただきながら、生きる力を育むという教育の本質についてのお尋ねをいただきました。  司馬遼太郎は晩年、「二十一世紀に生きる君たちへ」という書も書いておられまして、その中でも先ほどお話のあったのと同じような趣旨を子供たちに直接語りかけておられます。たくましい人になれということを語りかけておられるわけでございますが、教育におきましては、例えば豊かな情操であったり規範意識であったり、また自分や他人の生命の尊重、思いやり、また自己肯定感や困難を乗り越え物事を成し遂げる力、体力の向上、健康の確保、人間関係を築く力など、これはどんなに社会が変化しようとも、時代を超えて変わらず育成すべきものがあるというふうに考えております。  これらは決してないがしろにしてはならない生きる力の根っことして、これは授業であったり、あるいは集団体験活動などを通じて、日々の学校教育活動を通じてその力の育成に取り組んでいるところでもありますし、また、保護者の方はもとより、子供たちに関わる全ての大人が子供たちに対して教育をすべき、そういうものであろうというふうに考えております。  また、近年はいかに社会が変化しようとも、自分で課題を見つけて自ら学び考え、それを意見交換する中で判断、行動していく、またよりよく問題を解決する、そうした力や資質、そうしたところも含めて生きる力として捉えております。鳥取県のほうでもプロジェクトを組んで、アクティブラーニング型の授業ということへ改革をかねて進めてきておりまして、そうしたことを通じてその力の育成に取り組んできております。  こうした取組につきましては、今では地域の方々、あるいは企業の方々などの協力を得ながら取り組む課題探求型の学習という形で県内各学校で広く行われるようになってきておりまして、そうした学びにおきます児童生徒の活躍ぶりが新聞報道等を通じて報道される場面も、従来に比べて格段に増えてきていると考えております。  また、このたびのコロナ禍の中で、例えば境港市の全小学校の4年生から6年生約800名の児童が、外出の機会が減っている高齢者に元気になってもらおうと励ましの手紙を送ったり、あるいはマスク不足のときには、高校生が自分たちで布マスクを作って保育園だったり福祉施設に寄附をするなど、子供たちが様々な場面で優しくたくましく成長し、活躍する姿を見せてくれている、こうした点が一つの成果の表れではないかなというふうにも感じておるところでございます。  一方、教育は同時に社会の変化に無関心であってはならないというふうにも思っておりまして、その要請に応じて柔軟に対応していくことも必要かというふうに存じます。  社会の変化に対応した教育につきましては、先ほども人材育成のところでありましたが、なかなか教育委員会、あるいは学校現場だけでは実施することが困難なことも多くなってきておるというふうに思っております。私自身、この県議会での御議論、あるいは総合教育会議などをはじめ様々な場面で提示されます民意を教育に反映させるべく、これまでの行政で培ってきたといいますか、経験してきたことであったり、あるいは人間関係なども生かしながら、常に知事部局であったり地域や企業の方々との連携を意識して取組を進めてきているところでございます。  例えば、バーモント州の高校との学校間交流、あるいはスタンフォード大学と連携した遠隔授業などグローバル人材の育成の分野であったり、先ほどもありましたがスーパー農林水産業士の制度をはじめとする職業専門教育の分野などに加えまして、ふるさとキャリア教育であったり、フリースクール等と連携した不登校対策であったり、あるいは医療的ケアが必要な児童生徒、あるいは発達障害児童生徒などに対する教育と福祉の切れ目のない支援体制の構築など、幅広い分野で知事部局等と緊密な連携により成果を上げてきている取組が増えていると認識をいたしております。  引き続き、いわゆる教育の不易の部分を大切にしながら、知事部局等と連携をさらに強化することで、例えばICT利活用教育など時代や社会の要請にも的確に対応してまいりますとともに、これからコミュニティ・スクールというものを今進めておりますが、こうしたことを通じて地域と学校が連携をして子供たちを育てていくことができるような環境づくりにも力を入れ、より社会に開かれた学校教育となるように取り組んでまいりたいと考えております。  次に、社会教育団体、あるいは社会教育主事についてお尋ねがございました。人口減少、少子高齢化などの状況というものが社会教育団体にも大きな影響を及ぼしております。連合青年団であったり婦人会におかれましては、かつて非常に盛んに活動を行われておりましたが、この30年で構成員が約10分の1に激減するといったようなことで人材確保が困難になってきておりまして、そうしたことを背景にして、活動がかつてほど活発ではなくなってきているという状況もあります。  こうしたことにつきまして、県の教育委員会では、これはそれぞれの団体だけで活動をするということだけではなくて、いろいろな団体と連携をして取り組んでいただこうと、課題も共有していこうということで、社会教育主事などとそうした課題等を共有する場を設けて、そうした連携を深めていこうという取組を行ってきておりまして、そうしたところで出される意見、課題なども含めて、これからも活動の支援を行ってまいりたいと考えております。  こうした中で、各市町村に配置されております社会教育主事には、持続可能な地域運営におきまして社会教育団体であったりNPO法人であったり、あるいは公民館、学校といったところの参画により、地域における若者の学び、あるいは成長の場をつくっていくということが求められておるというふうに思っております。そうした中で、特に地域課題解決の取組において社会教育主事がコーディネートをしていく、そうした力であったり、ファシリテートしていく、そうした力を発揮することが期待されているものと考えております。  教育委員会といたしましても、国の社会教育主事の講習会というものがありますが、これを鳥取県にサテライト会場を設けるといったことを通じて資格取得の促進を行っておりますし、毎年度こうした社会教育主事をはじめとする資格取得者等を対象に各種研修会を開催しまして、先ほどお話ししましたコーディネート力であったりファシリテート力であったり、そうしたものを育成する、そうした力を育成する、そうしたスキルアップ研修というものも行ってきております。  また、社会教育主事の資格というのは、これはいわゆる教育委員会に任用するときに任用資格として活用されるということにとどまっておりましたが、今年度から新たに社会教育主事講習の修了者には教育委員会職員としての任用の有無に関わらず、社会教育士という称号が付与されることになりました。こうした方々の活躍も大いに期待をいたしておるところでございます。  また、こうした社会教育主事、あるいはこうした資格を取っておられる方々を対象に、近年では若者の地域との関わりやボランティア活動について事例を通じて実践的に学ぶ、そうした講座も開設をしておりまして、そうした講座には県民の方も地域の方々も含めて御参加をいただく中で、実際に参画意識が高まってきているという事例も見られます。例えば倉吉市の社地区の公民館を拠点とした、ぺっ!やしろという、パッションとエモーションということでPとEでぺということらしいのですけれども、そうしたところが中心となられまして、泥んこバレーといったような地域の新たなイベントであったり、あるいは祭りへ出店をするといったような形で多世代の交流といった新たな事業展開を図っておられる事例であったり、あるいは南部町では、南部町には高校はないのですけれども、高校生が集まってサークルをつくったことがあります。その高校生が少し大人になられまして、高校生たちが中心となって例えば成人式を自分たちで企画をしたり、あるいは町議会との意見交換の場を持ったりという形で、新青年団へんtoつくりという、そうした団体をつくって活動を始められるなど、社会教育主事が関わって若者を地域に巻き込んでいく新たな取組も始まってきているところでございます。  教育委員会としましても、先ほどの研修会、あるいは講座なども通じて、社会教育主事の資格を持つ人たちを対象とした人材育成に努め、それを通じて社会教育の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  最後に、歴史教育の充実の観点から、ふるさとキャリア教育をどのように総括して今後どう進めていくのか、あるいは歴史を学ぶ機会の環境を整えることについての所見ということでございました。  昨年度、これまでのふるさと教育の視点に自らの生き方、在り方を考えるキャリア教育の視点を盛り込んで、幼稚園から小中学校、そして高校に至るまで、一貫して系統立ててふるさとキャリア教育を進めていこうということで、全県を挙げて強力に推し進めることといたしておるところでございます。  ふるさとに愛着を持つという小学校低学年の段階については、いろいろ身近なふるさとについて学んでいこうと、それを通じて愛着を持つということにつなげていこうということですが、年を追うにつれて、ふるさとについて考えるといったことであったり、あるいはふるさとの課題解決に向けて自分たちで行動するといった段階を経て、高校時代には生き方を確立していくという、そうしたことをそれぞれの段階の目標としつつ、キャリアパスポートという一つのツールを使いまして、それぞれの段階でこういうことを学んできたということを記録としてずっと積み上げて次の段階に持っていく、そうしたことで学びをステップアップすることといたしておるところでございます。  ふるさとキャリア教育の中では、例えば人についてもやはり学んでいく必要があろうというふうに考えておりますが、八頭町では、小学生が町が作っておられる副読本で郷土の偉人といいますか先人のことを学ぶ中で、例えば八頭町出身の世界的なすい星ハンターの本田実氏について学習する中で、地元の空が世界一美しいといったことを誇りに思ったり、夢を追い続けることの大切さを学んだりというようなことをやりますし、中学生は町議会で地域活性化のためのプラン案を提案するといったようなこと、あるいは地元の企業経営者の話を聞いて地域で働くことの意義などを自分事として捉えるといったような学習をするということを進めておりますし、八頭高になりますと、これは探究コースというものを設けておりますが、プロジェクト授業という中で地域の方々に直接出ていってインタビューをする中で課題を探り出していく、それに向けた解決策を考え提案していく、そうした取組を地域や企業の方々の協力も得ながら進めているといったようなこともやっておるところでございます。  また、これも今年度のコロナ禍の中で県外の修学旅行がなかなか困難になってくる中で、県内の修学旅行、あるいは近隣の県も含めたところの修学旅行をやっていってはということで、そうしたことを進めてきたわけですけれども、6割の小学校、あるいは4割の中学校、県立学校も4割ですが、そうした学校が私どもの提案に乗って県内での修学旅行等を実施するといったことで、子供たちもふるさとのよさを改めて実感するといった声も入ってきております。こうした学習活動を促進するためのバス代についての支援経費について今議会にも提案をさせていただいているところでございます。  ふるさとキャリア教育では、お話しのように身近な歴史について学んでいくということも大切だというふうに考えております。なかなか学んでいないのではないかという話が出ますと、実は授業の中で必ず扱っているはずでございまして、多分記憶にあまり残っていない場合が多いのではないかなというふうに思いますが、そうした意味でも、体験的に学んでいくことで記憶に残るといいますか、心に刻まれるような、そうした学びがより求められるのではないかなというふうに思っております。  各学校、教育団体等が作った副読本なども使いながら歴史について、これは小学校では4年生で郷土について学ぶ中で学んでいますし、中学校では歴史の学習場面でそうした副読本を使いながら学んでいるといったことでございます。  体験的に学ぶということでは、4年前にも議論をさせていただきましたけれども、県立博物館には歴史民俗の常設展示室というものもありまして、古代から順に江戸時代なども含めて、資料を含めた展示をいたしておるところでございますし、そのほかにも埋蔵文化財センターであったり、妻木晩田史跡公園など県立施設もあります。智頭でいいますと枕田遺跡の歴史資料館などにも子供たちが訪れて学んでいるということでございます。こうした体験的に学ぶということをこれからも学校現場に対してしっかりと勧めてまいりたいというふうに思っておりますし、このたびお願いしておりますバスの補助金なども使って、ぜひこうした施設を訪れて、学ぶ機会を増やしていただければというふうにも考えておるところでございます。  最後に、美術館ができますと今の博物館から美術の資料が移っていく、その後にスペースが空くわけですけれども、そうしたことも含めて、県立博物館の改修というものもこれから進めていく必要があるわけでございますが、そうした中でも、歴史民俗部門の常設展示室のさらなる充実も図ってまいりたいというふうにも思いますし、ICTなどもしっかり活用して、歴史をはじめとするふるさとについて学べる環境というものを充実してまいりたいと考えております。 ◯副議長(福田俊史君)服部警察本部長 ◯警察本部長(服部準君)(登壇)西川議員から、本県の治安情勢に対する現状認識と課題について御質問がありましたので、お答えいたします。  まずは、本年2月10日付で警察本部長に着任いたしました。重責で身の引き締まる思いでございますけれども、安全で安心な鳥取県を目指して、力を尽くしてまいりたいと考えております。  本県の治安情勢でございますけれども、刑法犯の認知件数が平成16年以降17年連続で減少しているほか、交通事故の発生件数、負傷者数も平成17年以降16年連続で減少するなど、指標上は中長期的に改善を続け、総量としての治安水準は一定の改善傾向を基調に推移しているものと認識しております。  しかしながら、議員御指摘のとおり、特殊詐欺につきましては、昨年の認知件数、被害金額がともに増加し、電子マネー型の架空料金請求詐欺の手口が約半数を占めるなど、依然として深刻な状況であります。  また、重大事案に急展開するおそれのある配偶者への暴力、ストーカー事案、児童虐待等の人身安全関連事案やサイバー犯罪など、県民を脅かす犯罪は年々悪質・多様化しているものと認識しております。  暴力団対策につきましては、昨年5月、岡山市内において、六代目山口組大同会の幹部が神戸山口組傘下組織の幹部に対し、拳銃を発射して殺害しようとした殺人未遂事件の発生がございました。これを受け、暴力団事務所周辺や通学路における警戒活動を強化するとともに、暴力団対策法により米子市を警戒区域として両団体を特定抗争指定暴力団等に指定するなど、対立抗争事件の続発を防ぎ、県民の方々の安全と平穏の確保に向けた所要の対策を講じているところでございます。  その他、交通死亡事故や自然災害の発生など、治安への脅威は必ずしも指標では捉えることができない情勢であるほか、本年7月に開催が予定されております2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据えた警備諸対策の推進など、取り組むべき課題は山積していると認識しております。  これらの課題に対しましては、県警察の総合力を発揮した実行力ある取組の推進が必要であると考えております。こうしたことを進めるに当たりましては、被害に遭われた方々の心情に配意するなど、県民の方々の立場に立つことが大切であると考えております。  また、新型コロナウイルス感染症に関しましては、警察職員の感染防止と警察業務の継続のための対策を講じていくほか、社会の変化に伴う治安情勢の変化に柔軟かつ的確に対応していく必要があると考えております。  加えて、私自身、これまで犯罪捜査や暴力団対策に携わってまいりました。本県におきましても、悪質な犯罪の徹底した検挙、暴力団の壊滅、弱体化、こうしたことに取り組んでまいりたいと考えております。  そして、鳥取県の治安を担う責任者として、県民の方々の御理解と御協力をいただきながら、先人が築き上げた県警察のよき伝統を引き継ぎつつ、社会の変化に柔軟かつ的確に対応し、県民の期待に応える警察を目指して、全警察職員とともに全力で治安維持に取り組んでまいる所存でございます。  続きまして、ポストコロナを見据えた今後の犯罪被害防止に向けた取組についてお尋ねがありましたので、お答えいたします。
     コロナ禍における社会の変容に伴う犯罪情勢といたしまして、特殊詐欺、サイバー犯罪、SNS等に関連する犯罪の増加が懸念されるところでございます。このような中、県警察では、日々どのような犯罪が発生するおそれがあるのかといった点に着眼しつつ、その傾向、手口等を分析し、被害防止対策を行っており、特殊詐欺等が発生した場合においては、速やかにあんしんトリピーメール、広報紙、これらを活用した情報発信など、各種広報媒体を活用して、適時県民の方々に対し防犯情報の提供や注意喚起を実施しているところでございます。  今後とも、地域社会の変化を的確に見据えつつ、引き続き関係機関、団体との連携強化を図り、県民の方々の安全・安心の確保を図ってまいります。  続きまして、人口減少、高齢化時代を見据えた警察の治安維持体制についてお尋ねがありましたので、お答えいたします。  本県におきましては、人口減少に伴い、地域社会の一層の高齢化、過疎化の進展が予想されますところ、警察活動におきましては、高齢者の方が被害者となる特殊詐欺対策や当事者となる交通事故の抑止対策をはじめ、社会構造の変化に対応した柔軟かつきめ細かな治安対策が極めて重要であると認識しております。  県警察におきましては、社会構造の変化に適切に対応しつつ、地域社会における安全・安心を確保していくため、平成30年3月に本部自動車警ら隊を廃止しまして、中山間地域を管轄する小規模警察ごとの運用に変更し、より地域に密着した活動や夜間・休日における有事即応態勢を強化したところでございます。  また、警察職員OBを交番相談員、特殊詐欺被害防止アドバイザー、シルバー・セイフティ・インストラクター、スクール・サポーターなど会計年度任用職員として任用するなど、地域に密着したきめ細かな警察活動を推進しているところであります。  引き続き将来の地域社会の変化を見据えつつ、県民の方々の声に耳を傾けながら、あらゆる媒体を活用した積極的かつ的確な情報発信を行ってまいります。  また、関係機関、団体との連携強化を図りつつ、限られたリソースを効率的に運用し、実態に即した効果的な警察活動を推進するほか、優秀な人材確保に向けた採用活動、職員の現場執行力の強化等、組織基盤の充実強化に向けた取組を推進してまいります。これらを通じて、県民の方々の安全・安心を実現するための必要な治安維持体制を確立してまいる所存であります。 ◯副議長(福田俊史君)27番西川議員 ◯27番(西川憲雄君)それでは、追及質問をさせていただきます。  大分時間がたちましたので知事の答弁が大分頭から消えておりますけれども、(笑声)人材確保、育成について少しお伺いいたします。  日南町のアカデミーの御説明など、本当に私はすごく期待しております。知事も御記憶にあるかも分かりませんが、智頭町もそれ以前にはサングリーンという会社を立ち上げて人材育成を行いました。今も会社は存続して頑張っておりますが、1点残念だったのは、経営者を育てるという観点もあったのですけれども、なかなか自立ができなかったというところが若干マイナス部分かなと。ただ、今はもう優良会社で頑張っておりますので、褒めてやっていただきたいと思います。  それで、私は今回の質問は、人材を位置づけております。先ほど知事のほうからも、ワーケーション、副業、兼業が大きなチャンスだと、人材を育成する上で都会から取り込む大きなチャンスだと御答弁いただきました。ちょうど今、期せずして地方に大きな追い風が吹いております。これを逃すことなく取り組んでいただくことをお願いして、この質問は終わりたいと思います。  次に、体力強化に向けた取組についてであります。  この問題は、事業承継、大きな問題で、我が会派も昨年は浜崎議員、その後は島谷議員も質問を代表質問で行わせていただきました。そして、私も今回取り上げております。  ここで私は少し知事に御質問したいのは、県の融資、それから支援で本当に長らえている会社がございますが、返済期限が来た頃に本当に経営状態が改善しているかという不安な部分がございます。努力しなくてよくなるわけはないので、会社というのは結構したたかなもので、一生懸命頑張ると私は思います。先ほど知事も地元のトミサワ電機の紹介をしていただきました。企業は、10年も20年も同じ形態で続く会社はそう多くはありません。一生懸命考えた方向性でやります。ただ、高度成長のときのように、なくなった会社の代わりに新しく会社が生まれるという状況では、今の社会情勢はないように思います。今ある会社をいかに続けられるか、そして発展させていくかというのが、私は大きな課題だろうと思っております。それが2年後に来るのか1年半後に来るのか私には分かりませんけれども、そのときにはぜひとも県も一緒になって支援や方向性を一緒にやっていただくことを知事のほうから御答弁いただければと思います。  次に、農林業についてお伺いいたします。  主食米の状況は知事も大変御存じで、私が再質問するほどのことはないほど述べていただきました。ただ、私が感じたのは、やはり西部と東部では感覚が違いまして、やはり長年米作りをやっている東部は、なかなかそこから抜け切れない体質がございます。JAの方とお話ししても、やはり米作りというのは東部の主要作物で、なりわいになるならない以前の問題の部分もあるように思います。ただ、それがいつまで続くかという問題もあるわけで、やはりそこには将来を見据えた転作とか野菜とか、そういうものに誘導するのもある意味行政の務めだなという考えを持ちました。  これは質問ではありません。知事のほうから十分な答弁をいただきましたので、追及質問は行いません。  林業のほうに少し追及させていただきます。知事も大変理解をされていて、今までの経緯を全て知っておられますし、現状も理解されておりますが、1点私が思うのは、やはり私は地元に住んでおりますので現状を見ますと、どうしても山頂部には手が入っていないというのが現状です。そして、作業道や林道をつけるといっても、やはり予算的な問題があり、なかなか全てにはそういうことは可能ではございません。  そこで、一つ提案なのですけれども、皆伐再造林の場合、広葉樹もあり得るという知事の答弁がございましたが、植える前に取りあえず切るという作業があります。そして、その山頂部に近い部分の残された杉、ヒノキをどのように出すか。林道がつくまで待つのかということでは、なかなか前に進みません。今まで残っているということは、そういうことは可能でないということだろうと思います。  そこで、ワイヤロープなどを使った架線搬出、これに県が一生懸命力強く支援すると明言していただいて森林整備意欲を喚起していただければ、私は山の問題はトータル的には県の支出は少なくて済むのではないかと。今このままほっておけば、木は植わっているようでも下草も生えておりません。将来の問題を考えるときに、今FIT価格がある、こういうときにこそ山頂部の木を出すのがいいのではないかと考えておりますので、知事の答弁をいただきたいと思います。  それと、国土強靱化です。これも知事はいろいろ述べていただきました。その中で、私は公共施設のほうに少し重点を置いてお聞きしたいと思います。  先ほどは答弁の中で、大変いいお話を聞きました。つまり、国の予算措置の関係で、前倒しをしていると。私もそう思います。40年をべた割りでやっても、県の財政は10年後、20年後、今の規模であるということの証はありません。つまり、分母が変われば結果が違うわけで、均等に割るということが全て正しいということではございませんし、できることであれば安価で簡単な方法で前倒しができれば一番いいのではないかなと思います。  そして、壇上でも申しましたが、多くのプロジェクトで20年ぐらいたった建築物が相当ございます。今回の予算措置の中でも、例えば花回廊の指定管理料3億九千幾らが計上されております。これはある意味理解した上ですけれども、これで済めばいいのですが、そのほかに機械の更新もろもろ、数千万円の予算も計上されております。つまり、指定管理だけで済まない時代が来ているということです。  これは、ただ花回廊に限った問題ではありません。やはり劣化すれば、いろんな分野で予想外の支出が生まれる。そうしたときに、公共施設の在り方をどのようにこれから維持するか。その一つとして、地域に根差した小学校、公共施設が空き施設になれば、地域のニーズに沿った利活用、大変いい例がございます。隼Lab.は本当にすばらしい。今でも入りたい企業がまだ応募があるそうでございます。こういういい例があるわけですので、その例を活用しながら、いろんな分野に広めていっていただいてはどうでしょうか。この件につきまして、知事の御答弁をお伺いいたします。 ◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)議員のほうから、改めてお尋ねをいただきました。副業等につきましては、先ほども申しましたようにしっかりとこのトレンドを引き寄せていきたいと思いますし、サングリーンはじめ、智頭においても人材育成をされて、林業の担い手というものもつくってこられたわけであります。  最近、若い方々で自伐林業をやろうと。あれも一種の相互扶助的な、何か勉強会的な人材育成の場にもなっていると思います。ああいうネットワークが県外ともつながっていまして、非常にいい智頭の林業の活性化にもつながるのではないかと思いますし、今度森林組合自体も若返りがされまして、これからどういうように展開されるのか、我々としてもしっかりとフォローをさせていただきたいというふうに思います。  新型コロナの対策融資につきましては、フォローアップがこれから重要になると思います。実は、多くの方々は据置期間なしとか1年とかということでありまして、2年以上の方のほうがかえって少数派というか、あまり目立たない、平均でいうと1年、2年かそこらぐらいが平均でありまして、本来の据置期間よりも大分短く捉える、この辺は多分鳥取県民特有の堅実経営ということがあるのだと思います。  そういう意味で、実は償還が始まっているのですね。もう早いもので1年たっておりますので。そういうようなことで考えますと、やはりフォローアップが十分必要になってくるということでありまして、私どものほうでは先週、金融機関のトップの方々、平井鳥取銀行頭取はじめ、そうした方々にお集まりをいただきまして、現状を共有をしながら今後の対策を話し合いました。割と金融機関の方も同じような、非常に冷静でシビアな視点もおっしゃっておりまして、やはりこれからどういうビジネスモデルをつくっていくのか、実際に返済をしていくとなった場合に言わば売上げを立てて、場合によっては業態転換をしていく、そういうところは積極的に応援をしたいというようなお話があったりしました。私のほうからは、やはり返済に当たっては条件変更も柔軟にやっていただきたいと。そういうようなことで、我々としても一人の人の資金枠も3億円まで増やしますし、議会のほうの承認も取るべく、議会でも我々は予算を審議してもらいますからよろしくお願いしますということを申し上げまして、おおむね了承をいただいたと思いますし、金融機関も結局企業の芽を摘んでしまったら将来に生きませんので、そういう意味では全面的に協力しようという姿勢でございましたので、本県らしい、言わばこの機会、金融面でも支え合っていこうという、そういう環境はつくられつつあるのではないかなと思います。ですから、返済のときに一気に企業を倒してしまうということにならないように、今その環境づくりをさせていただいております。  国のほうには、西村大臣に今週、私ども知事会の結果を踏まえまして、私の立場もございますので直接この問題も申し上げました。政府のほうでも、県よりは大分枠が小さかったりしますけれども同じ制度をつくっていまして、これのフォローアップということをしっかりやっていく必要があると、このことも要望させていただきました。  これから言わばメンテナンスの事業が始まるのですね。それは、個別の企業ごとに状況を調べて対応策を考えていくというものであります。これは信用保証協会も中心に入っていただきまして、東部、中部、西部で先月、それぞれに企業支援ネットワークの会議をしました。数十社ぐらい見当をつけて、重点支援をしていこうというような話合いも始まったところです。そういう意味で、いろいろときめ細かい支援体制を組んでいければと思います。  米についてでありますが、東部のほうは確かに米作りの伝統が強いと思いますし、西部のほうは割と単位農協のほうで販路をつけて売りに行くのですが、いなばさんは割と全農系統でやっておられたり、いろいろと文化が違うところはあろうかと思います。  ただ、その中でも、先ほど申し上げたとりちくさんの旧コントラクター組合を吸収してやる事業など、飼料用米等の転換ということは一つの有利な材料になると思いますので、JAともタイアップをしながらお勧めをしてまいりたいと思います。これは従来の米作の中でできますし、例えば日本晴などでも、そうした飼料用米として認めていくようなことも本県はやってきておりますので、そういう意味で、連接性のある取組になるかと思います。  また、智頭のようなところでも、特産品としてリンドウをはじめ、そうした農業をされている、そういうこともやってきておりますので、いろいろと収益性の高いようなやり方を進めていければと思います。  林業につきましては、山頂のところをどうするのかという話でありまして、これは非常に経営的にはちょっと困難があります。どうしても収益性からいきますと、御案内のようにある程度例えば作業道をつけまして、そこにタワーヤーダだとかプロセッサーだとか、そうした大型機械も持ち込みまして、それでどんどんと刈り取りやすい、伐採しやすいところの範囲を面的にやっていけば、これは非常にコストは安くなります。ですから、林業経営としてはそちらのほうがいいので、どうしても山頂のところ、入るのも大変だというところは取り残されがちであります。  特に智頭は山が深いところでございまして、これまでもいろんな話合いを地元でもされてきておりますけれども、なかなか難しい。と申しますのも、そこに上がっていく道筋ができるかどうかと。できてくれば、タワーヤーダだとかそうしたことも活用可能になってきますけれども、現状はなかなか奥地のほうが難しくなってくる。しかも、ちょっとのり面が崩れたり、そういうこともここ最近の災害関連でも出てきておりますので、正直簡単ではないところであります。  そこで、議員もおっしゃいましたけれども、架線系ですね、ロープ、ワイヤロープを使った、以前はよくやっていたようなそういう伐採、それから集荷事業という手法ができないのだろうか。そういう意味で、言わばロープウエーのような形をやる。それに例えばドローンでロープを渡して持っていって、それで上手に引っかけてやってくるとか、その辺の工夫をしながらやれるところもあるのではないかなという話合いをしておりまして、先月も智頭町の森林組合さんとそれで県側も含めて話合いの場を持ったりしております。  例えば小宮山林業さんみたいなそういう技術を持っておられるところ、そうしたところにも御協力をいただきながら、県のほうの皆伐再造林の研究事業みたいなのがあって、そうしたところのモデル的な収益が取れるかどうかのちょっと支援をすると。そこに県のほうでも4分の3助成だとか、ちょっと高率のモデル事業としての採択をするなどして、まずはちょっと試しにやってみるかというところから入っていくのかなと思います。理論的には絶対収益が取れないということでもないのだと思うのですね。最近、材価が多少はよくなっていると思いますので、今後の相場にもよりますけれども、その辺のちょっと対策を取りながら、奥地の山頂辺りに対する対策ということも可能ではないかなと思います。  今厄介なのは、智頭の場合は、前も議員が質問されていたように鹿の食害がありまして、植林してもそのそばから餌になっているということになりますし、山頂のほうですとなかなか手入れも難しいと。いろいろとやり方を考えながら、鹿の柵も木を活用しながらそれを支柱にしてやるとか、やはり何らかいろいろとモデル的に工夫をしながら、トライアル・アンド・エラーでやりながら収益の高い、そういう事業化を目指していくことになるのではないかなと思います。ぜひ地元のほうとよく協議をさせていただきまして、フォローをさせていただきたいと思います。  また、メンテナンスのことなどにつきまして、いろいろとお話がありました。公共施設の活用については、西部総合事務所や、あるいは西部の体育館のような形で今ドラスチックに進めているところもありますが、まずは有効活用しようということもあるわけですね。お話にあった隼Lab.も、好評によりましてこのたび新しいプレハブ型の施設が整いました。それぐらいやはり需要がかき立てられているところでありまして、ワーケーションや副業やサテライトオフィスの優良事例に全国的にはなってきていると思います。  こうしたことはいろんなタイプのものがあると思うのですね。例えば智頭農林の学校をそのまま利用して、それを地域の行事の中で活用していくとか、また例えば千代川の右岸のところですかね、智頭の桜の並木がありますけれども、あそこでお祭りをしたりしますが、ああいう頃は一月間ぐらい使用許可を与えて活用していただくということをやっているわけです。青谷のほうの駐在所の跡地なども活用しながら、同じように地元の行事として活用してもらうとかということもあります。いろいろとそうした形で有効活用するというのも一つのやり方だと思いますし、いろんな試算の知恵も出てくると思います。私どもとしても、郷土連携型の提案事業というものを新年度に向けても窓口をきちんと整備しようと思っていまして、そうしたところでもそうした地元のニーズとのマッチングをさせていただきながら進めていければと思います。 ◯副議長(福田俊史君)27番西川議員 ◯27番(西川憲雄君)御答弁いただきました。特に事業承継の件については、質問するまでもなく、知事のほうから事前にもう取り組んでいるという御説明がありました。大変心強く思っております。ぜひとも今のお言葉のように取り組んでいただきたいと思います。  林業関係ですけれども、形として何らかの取組をやっていこうという御決意を感じました。やはり動かないということは何らかの問題点があるわけで、してみれば知事が言われるように可能性もあると思います。やはり取り組むということが大事なことなので、ぜひとも一生懸命前向きに取り組んでいただきたいと思います。  ここからは、教育委員会、警察本部長にお伺いします。  生きる力という題で御質問をさせていただきました。いろんな形で取り組んでいるというのを、私も年齢的にも子供は高校や中学におりませんので詳しいことは分からない中での質問になりましたが、いろんな方とのお話の中で、少しそういう面が弱いのではないかなという思いで質問させていただきました。  どのように見るかはそれぞれあるのですけれども、やはり問題提起をさせていただいたということは十分とは言えず、8分目かなと、7分目かなという思いを教育長のほうが御理解いただければなと思っております。  歴史教育についてお伺いします。御認識を話していただきました。また、県博のほうでも大きくはないけれども常設の場所もあるのだというのは、以前もお聞きしたのです。それで質問するということは御理解いただけると思いますが、やはり美術館が建つときには、それなりのスペースは絶対空くのだと思うのですよ。利用価値がもうちょっと広がるのではないかなと。そして、子供たちの将来のために、鳥取県の知識を得る場がやはり拠点としてあるほうが、私はより効果が出るのではないかなという思いで質問させていただきました。最後、その点について御答弁いただきたいと思います。  そして、服部本部長のほうには、追及で1点だけ質問をさせていただきます。  赴任早々こんな質問を用意をさせていただきまして、答弁は大変だったと思いますが、関係機関との連携や将来的な警察活動の基盤を考えたとき、犯罪防止や捜査活動における防犯カメラの活用が重要ではないかと私は考えます。  県独自の防犯カメラはお持ちでないというのもお伺いしておりますし、また設置もなかなかいろんな面で難しいというのもお聞きしましたが、警察がこれから活動する上で、行政機関や民間企業が既に設置しているカメラ、これを活用することはもっと柔軟に考えてもよいのではないかなと思います。  そのためにも、一定のルールを持ちながら、事前に協定等を結んで、即活用できる、対応できる、そういう体制を構築すべきではないかなと思いますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 ◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。  山本教育長 ◯教育委員会教育長(山本仁志君)(登壇)西川議員から重ねてお尋ねがございました。生きる力につきましては、確かに十分かと言われると、まだ十分ではない面もあろうというふうに思います。体験的なものがどうしても不足しがちな傾向にありますので、そうしたところを通じながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。  また、歴史教育についても、引き続きしっかりと取り組みたいと思いますし、博物館の改修の時期がやがて参ります。今、中間まとめという形で基本構想をまとめておりますが、しっかりそうした計画をつくる中でも、歴史民俗の常設展示室の充実なども含めて検討してまいりたいと考えております。 ◯副議長(福田俊史君)服部警察本部長 ◯警察本部長(服部準君)(登壇)西川議員から、犯罪等が発生した場合における街頭防犯カメラの利用についてお尋ねがありましたので、お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、街頭防犯カメラにつきましては、犯罪を予防し、被害を未然に防ぐとともに、犯罪等の発生時には早期に事案概要を把握した上、犯人の追跡や被害者の保護、行方不明者の発見活動等に大変有用であると認識しているところであります。  現在、県内に警察独自に設置した街頭防犯カメラはございませんけれども、県内の公共空間における街頭防犯カメラの設置につきましては、JRの駅周辺、小学校の通学路等85か所、372台を把握しております。他県におきましては、街頭防犯カメラの画像の利用に関しまして事前に設置者と警察との間で協定を締結していることもあると把握しておりますけれども、当県では平素から設置者の方々との良好な関係を構築しておりまして、その御理解と御協力をいただいて、犯罪等が発生した場合には街頭防犯カメラの画像を利用させていただいているというところでございます。  県警察では、引き続き設置者の方々の御理解と御協力をいただきながら、適正な取扱いに留意しつつ、街頭防犯カメラの画像を用いて迅速な犯人の追跡、被害者の保護、行方不明者の発見などを図ってまいる所存でございます。 ◯副議長(福田俊史君)27番西川議員 ◯27番(西川憲雄君)御答弁ありがとうございました。  今日こうして1日、代表質問をさせていただきました。知事からは、総額3,500億円の予算の説明、コロナに対する、撲滅に対する、対策に対する決意を述べていただきました。しかし、これはここにいる職員、議員にできることではございません。県下55万人の県民の皆様の協力があって対応できると私は考えております。多くの方が、この代表質問をお聞きになっていただいていると思います。が知事や私たちの思いと同じように、いや、それ以上に県民の皆様一人一人の御協力をお願いします。  また、コロナ禍において厳しい財政の中、県は大きな予算を対応に回しております。このコロナが終息し、経済が活性化するときには、県内企業や事業者の皆さんが一生懸命頑張って納税できるように、県の財政が少しでも楽になるように頑張っていただくことをお願い申し上げます。  最後に知事のほうからもお願いしていただければ幸いと思いますので、これで私の質問を終わります。 ◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)西川議員から、重ねてのお話がありました。議員のほうからお話がありましたように、我々は未曽有の困難の中にあると思います。一つは、健康、命を脅かされる新型コロナとの病の闘いであります。今、序盤戦、中盤戦は、一応鳥取県は健闘している状況が生まれておりますのも、県民の皆様が予防に努められた成果にほかなりませんし、また医療従事者の皆様もしっかりと準備を重ねていただき、全力で治療に当たっていただく、そういうことが成し遂げられたからでありましょう。また、協力してくださったお店なども、称賛に値する頑張りを見せていただきました。残念ながら、なかなか今、全国的に実は様々な飲食についてのコメントがコメンテーターや何から何まで出てくるものですから、ちょっと出控えムードがあるわけでありますが、鳥取県としてはGoToイート、これをさらに続けながら、これもまた5月まで販売期間を延ばして応援をしていこうということなどをやろう。さらには、観光も応援の施策を始めようと。もちろん、これにとどまらず、我々は踏みとどまれるように、議会の皆様とも協議をして、一つ一つ丁寧に対策を取っていきたいと思います。  先が見えない状況でありますので、臨機応変にやらなければいけないところだと思いますが、しかし、鳥取県のよいところは、お互いの事情をお互いのみ込める距離感があることだと思います。議員もおっしゃいましたけれども、県民が一つになって、それで初めてこういうコロナとの闘いを今までのところ頑張れたというお話でありますが、正直申し上げて、ウイルスに対するワクチン接種が進むとはいえ、高齢者が終わるところまで行くのもまだしばらく月日がかかりますし、さらには、その後一般の方々のワクチン接種を考えますと、今年いっぱいぐらいかかってしまうかもしれません。ただ、だんだんと状況も変わってくるだろうとは思いますし、我々としてもその環境をしっかり整えてまいりたいと思いますが、やはり今まで頑張ってこられたように、心を一つに県民の皆様、関係者の皆様のお力をいただいて、コロナ禍と言われるこれを乗り越えていければというふうに思います。  季節も巡ってまいりまして、またコロナの下での再びの春が3月の暦を数えてやってきたところでございます。「春の山一つになりて暮れにけり」と正岡子規が詠んでおりますけれども、一つになって、そしてこの美しい智頭、あるいは鳥取の山々のように、私たちは美しいふるさとを共に守ってまいりたいと思います。 ◯副議長(福田俊史君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後3時39分散会    ────────────────...